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トップ特集・オリジナルコンテンツアーティスト名鑑Junior Murvin
アーティスト特集
Junior Murvin(ジュニア・マーヴィン)Text by Harry Hawks
ジュニア・マーヴィンまたの名をジュニア・ソウルは、多作なシンガーではなかったものの、代表作である疑いの余地のないほど明白なクラシック'Police & Thieves'がその発端であるキングストンのダウンタウンにおける血なまぐさい政治的暴力行為を超越し、底辺から、そして頂上から圧制に立ち向かう世界中の人々のアンセムとなった。
Junior Murvin
本名 Murvin Junior Smith
出生 1946年
死没 2013年12月2日
出身地 ジャマイカ ポートランド スイフト・リバー
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マーヴィン・ジュニア・スミス(Murvin Junior Smith)は、1946年、ポートランド教区郊外のスイフト・リバーに生まれた。生後わずか1週間で母方の曾祖母と共にポートランドに移住したが、彼女はジュニアが13歳のときに亡くなった。若きジュニアはジャマイカの北海岸、モンテゴ・ベイのリゾート地から程近いグレンデヴォンに移り住み、その地で祖母と共に暮らした。シャイで内気なジュニアは裏方であることを好み、近所のメソジスト教会ではコーラスで歌うことよりもパンプオルガン(ハーモニウム)を弾いていた。モンテゴ・ベイの技術高校で機械学を学んでいた彼の貴重な才能が最初に人々に認識されたのは、MoBay's Palladium Theatreで行われたタレント・コンテストでのことだった。当時アメリカに住んでいた叔母にギターをプレゼントされると、ジュニアは近所のユーツ(少年)たちと一緒に演奏を始め、次第に自ら歌を書くようになった彼はジュニア・ソウルとして知られるようになる。彼は"ほとんどの場合、人々がファルセットと呼ぶ高音を用い"、彼がもっとも影響を受けたのはビリー・エックスタイン(Billy Eckstine)、ナット'キング'コール(Nat Cole)、そしてサム・クック(Sam Cooke)などのスムースで洗練されたアメリカのシンガーたち、そしてジャマイカ人ヴォーカリスト、ウィルフレッド'ジャッキー'エドワーズ(Wilfred Jackie Edwards)であった。

60年代初頭にキングストンへ旅に出た彼は、レスリー・コング(Leslie Kong)のビヴァリーズ・レコーズ(Beverleys Records)、そしてスタジオ・ワン(Studio One)のリー'スクラッチ'ペリー(Lee Perry)の下でオーディションを受けるものの不合格とされ、再び北海岸へ戻っていった。しかしながら急激に発展する都会の音楽シーンが持つ魅力の虜となってしまったジュニアは1967年にキングストンに戻ってくると、叔母の一人と共にトレンチ・タウンで生活を始めた。彼の最初期のレコーディングはロックステディからテンポの速いレゲエのリズムへの過渡期に伝説のデリック・ハリオット(Derrick Harriott)の為に録音された。中でもジュニアが書き下ろした'Solomon'はレーベルから発表された曲の中で最も成功したロックステディの不朽の名作となり、デリックはそのヒットを満喫した。そしてこの曲が基となりデリックは後にデニス・ブラウン(Dennis Brown)と繋がり、レコーディングをしていくこととなる。

「バイロン・リー(Byron Lee)のショーでデニスは'Solomon'をよく歌っていた。"俺はビッグ・マンだ"と話すこの小さなユーツと意気投合し、俺たちは友達になったのさ」デリック・ハリオット

'Big Boy'、'Glendevon Special'、'Rescue the Children'をはじめ、ジュニア・ソウルがデリック・ハリオットのレーベル、クリスタル(Crystal)とムーヴ&グルーヴ(Move & Groove)に残した作品は、当時大ヒットとはならなかったもののデリックが手がけた数々の作品はその後絶賛を浴びることとなり、レゲエのレコード・コレクターたちの間で、高値で取引されるようになる。彼はまたソニア・ポッティンジャー(Sonia Pottinger)のハイ・ノート(High Note)のために'Jennifer'/'Slipping'を録音し、ポッティンジャー婦人の運営するレーベル、ゲイ・フィート(Gay Feet)を通してキングストン、ロンドンの両都市で発売された。その後ジュニアは若きデニス・ブラウンが在籍したことで知られるファルコンズ(Falcons)に加入した。1975年、ジュニアはポート・アントニオに戻り同地でトランペット奏者のボビー・エリス(Bobby Ellis)のグループ、ヤング・エクスペリエンス(Young Experience)に加わった。極めてプロ意識の高いこのグループはツアーでキューバをまわり、ノーマン・マンレー(Norman Manley)首相の夫人であるビヴァリー・マンレー(Beverley Manley)氏の誕生日パーティで歌を披露した。

しかしながらこのグループは解散することとなり、ジュニアはキングストンに戻って再びスクラッチの下でオーディションを受けた。当時既にその実力が認められ、自らのレコーディング・スタジオを運営していたスクラッチが1976年に発表したジュニアの'Police & Thieves'は、彼のブラック・アーク(Black Ark)から表に出た最初の1曲であった。ジュニアの熱のこもったファルセットはワシントン・ガーデンの壁を越えて漂い、警察、犯罪者集団の両方から同等の、危機的な圧力を受けることとなった。スクラッチはジャマイカのフェデラル(Federal Records)とライセンス契約を交わし、彼らが運営するサブ・レーベル、ワイルド・フラワー (Wild Flower)から'Police and Thief'としてリリース、裏面には'Grumbling Dub'が収録された。イギリスではアイランド(Island)からリリースされたこの曲はレゲエ市場において空前の大ヒットを記録し、この夏ロンドンのノッティングヒル・カーニヴァルで警察と若いアフロ・カリビアンの若者たちの間に起こった暴動の間もこのレコードはかけられ続けた。さらには翌年、クラッシュ(The Clash)がCBSから発売されたデビューアルバムでこの曲をカヴァーしたことによりその悪評が高まった。

スクラッチはこのリズムをヴァージョン化しディージェイ、ジャー・ロイド(Jah Lloyd)が'Soldiers & Police War'を、そしてサックス奏者グレン・ダ・コスタ(Glen Da Costa)が美しいインスト'Magic Touch'を発表した。ジュニアは12インチでリリースされた'Bad Weed'、7インチの'Philistines On The Land'で同リズムに再びその歌声を吹き込み、「Police & Thieves」と題されたアルバムはイギリスで大人気となった。'Tedious'と'Roots Train'というシングルもリリースされたが、残念なことに'Police & Thieves'の人気を凌ぐことはなかった。このレコードはセオドロス・バファロコス(Theodros Bafoloukos)監督の映画「Rockers」でフィーチャーされた際、再びアイランド・レコーズからリリース、プロモーションが行われ、1980年5月、ついにイギリスのナショナル・チャートで23位を記録した。その10年後にはクリス・ブラックウェル(Chris Blackwell)が監督した映画、「Third World Cop」でルチアーノ(Luciano)が歌った'Police & Thieves'のヴァージョンがフィーチャーされた。

数々のプロデューサーと仕事を共にしたジュニアであったが、中でも1980年、ジョー・ギブス(Joe Gibbs)の為に録音された彼独自の'Real Rock'リズムの解釈'Cool Out Son'、そして1982年にマイキー・ドレッド(Mikey Dread)のレーベル、ドレッド・アット・ザ・コントロール(Dread At The Control)の為に録音されたLP「Bad Man Posse」などが有名である。その2年後にジュニアはヘンリー'ジュンジョ'ロウズ(Henry ‘Junjo’ Lawes)プロデュースの下、「Police & Thieves」の続編である「Muggers In The Street」をリリースした。両アルバムはレゲエ市場で大いに売れ、1986年にキング・ジャミー(Lloyd James)がプロデュースしたジュニアのデジタル・アルバム「Apartheid」もまたこの年を代表するリリースのひとつとなった。しかしながらジュニアは驚異的な人気を誇った'Police & Thieves'の成功を再び超えることはなかった、にもかかわらずこのルーツ・ロック・レゲエのアンセムがもたらした持続的な効果は、驚くほど遠くまで行き届き、かかった瞬間に認識されるほんの一握りのジャマイカン・クラシックのひとつとして現在まで国際的にプレイされている。

ジュニア・マーヴィンは2013年12月2日、糖尿病による高血圧が原因でこの世を去った。彼には5人の子供、8人の孫がいる。この悲しみの時に、我々の心からの哀悼をジュニアの家族、そして友人たちに捧げる。
2019/12/13 掲載
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