Jacob Miller（ジェイコブ・ミラー）Text by Dub Store Sound Inc.
全盛期にはボブ・マーリーを凌ぐほどの人気を誇った伝説のルーツ・シンガー。
Jacob Miller
| 出生 | 1952年5月4日 |
| 死没 | 1980年3月23日 |
| 出身地 | ジャマイカ マンデビル |
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ジャマイカのマンデヴィルにて生まれたジェイコブ・ミラー(Jacob Miller)は8歳でキングストンへと移住。母方の祖母によって育てられた。幼少期からその才能を感じさせたジェイコブ・ミラーは若干13歳でレコード・デビューを果たす。1968年、コクソン・ドッド(CS Dodd)のスタジオ・ワン(Studio One)で録音された'Love Is A Messege'はまだ幼さの残る歌声で聴かせる素晴らしいロックステディ作品である。
その後、1974年からはジャマイカ史上最も独創的なサウンドを生み出したオーガスタス・パブロ(Augustus Pablo)の元で活動を開始し、東洋的エキゾチズムを感じさせる"ファー・イースト・サウンド(Far East Sound)"に乗せて、これから更に勢いを増していくドレッドな作品を生み出した。'Who Say Jah No Dread'、'Keep On Knocking'、'False Rasta'、'Each One Teach One'といった作品は"ルーツ"と呼ばれる作品の中でも最高級の出来である。またロッカーズ(Rockers)からの代表作の一つに挙げられる'Baby I Love You So'のダブ・ヴァージョン、'King Tubbys Meets Rockers Uptown'はキング・タビー(King Tubby)が手掛けた最も重要なダブ作品として現在も語り継がれている。こうした楽曲の多くは当時プレ・リリースのみだったものの評判を呼び、イギリスでも高い人気を獲得した。
オーガスタス・パブロの元で大きな成功を手にした彼は、その後インナー・サークル(Inner Circle)のリード・シンガーとして更なるヒット作を生み出すこととなる。バンドとして独立した形態をとったインナー・サークルでジェイコブ・ミラーは益々存在感を増し、その刺激的なステージングで不動の人気を獲得した。あのボブ・マーリーとも肩を並べる程で、この時期彼の人気を凌ぐ者は居なかったと言い切っても良いだろう。この時期に発表された'Tired Fe Lick Weed In A Bush'や自身も出演した映画「Rockers」に使用された'Tenament Yard'はレゲエ史に輝く名作として誰もが知る所である。1976年にはキャピトル・レコーズ(Capitol Records)と契約し、「Reggae Thing」、「Ready For The World」と2枚のアルバムを発表した。またソロ名義で発表された'Peace Treaty Special'や'Standing Firm'といったヒット曲にもインナー・サークルによるリズムが使用されている。
ジェイコブ・ミラーはソロ・シンガーとしても様々なレーベルにヒット作を残し、ガッシー・クラーク(Augustus Gussie Clarke)の元には'Forward Jah Jah Children'、ジョー・ギブス(Joe Gibbs)にはボブ・マーリーの'Soul Rebel'を歌い直した'I'm A Natty'やアルトン・エリス(Alton Ellis)の'I'm Just A Guy'を歌い直した'I'm Just A Dread'、アラブ(Arab)から発表された'All Night Till Day Light'は1976年のフェスティバル・ソング・コンペティションで見事2位に輝いた。
1978年には有名なOne Love Peace Concertにも参加を果たし、参加後にはイギリスのレーベル、アイランド(Island)と契約を交わした。1970年代にソロとして最も中心的な歌手であり、またインナー・サークルとしてはクロスオーバーな成功も手にした。しかし更なる活躍が期待された1980年の3月23日、ジェイコブ・ミラーはホープ・ロードにて交通事故に遭いこの世を去ってしまった。27歳という若さで余りにも突然の死であった。
もし彼がもう少し長い人生を生きていたなら、ジャマイカの人々が予言した通り、もっと大きな成功、名声を手にしたであろう。独特の歌唱法で聴かせる素晴らしいテナー、大きな体を揺らして、活き活きと歌う姿は多くのファンに愛され続けている。
2009/07/21 掲載 （2013/11/28 更新）
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