Midnight Rock(ミッドナイト・ロック)Text by Dub Store Sound Inc.
ジャー・トーマス(Jah Thomas)ことンクルマ・トーマス(Nkruma Thomas)によって設立されたレーベル。自らもマイクマンとして名を馳せ、アーティスト自身がプロデュースを手掛け成功を収めたレーベルである。
Midnight Rock
設立地 |
ジャマイカ キングストン |
主要スタジオ |
Channel One Studio Harry J Studio King Tubbys |
設立者 |
Jah Thomas |
プロデューサー |
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エンジニア |
Barnabas Bobby Digital Bunny Tom Tom King Tubby Peter Chemist Scientist Soljie Sylvan Morris |
関連アーティスト |
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自身もディージェイとして活躍するンクルマ・トーマス(Nkruma Thomas)、通称ジャー・トーマス(Jah Thomas)によって設立、運営されたレーベル。レーベル名は自身がアルヴィン・ラングリン(Alvin Ranglin)のプロデュースにより、チャートの1位を獲得したヒット曲にちなんでいる。ジャー・トーマス(Jah Thomas)は、このアーリー・ダンスホール期を代表するレーベルを通し、自身の作品をリリースすると共に、様々なパフォーマー達と共に重要なヒットを生み出していった。
彼のプロダクションのサウンドを担っていたのは、エロール・フラバ・ホルト(Errol Flabba Holt)率いるルーツ・ラディックス(Roots Radics)である。彼等の強力なワン・ドロップ・リズムに乗せてアーリー・B(Early B)、アンソニー・ジョンソン(Anthony Johnson)、スーパー・キャット(Super Cat)といったディージェイ達、歌手ではトリストン・パーマー(Triston Palmer)、ジョニー・オズボーン(Johnny Osbourne)、バリー・ブラウン(Barry Brown)、リトル・ジョン'(Little John)、シュガー・マイノット(Sugar Minott)等、一線級のパフォーマー達が大きな成功を収めた。
中でも特筆すべき重要なヒットとなったのが、当時メキメキと頭角を現してきた若きシンガー、トリストン・パーマー(Triston Palmer)による'Entertainment'である。ファウンデーション・リズム、へヴンレス(Heavenless)のリメイク・リズムに乗せたこのビッグ・ヒットは若者の関心がダンスホールでのエンターテイメントに集中していた事を如実に表している。この曲は彼の生涯で最大のヒットを記録したが、同じく強力な'Joker Smoker'も忘れてはならない。恐ろしいほどに引き締まったこのリズムに乗せた題材は、ダンスホールでは定番のガンジャ・ネタであるが、その切り口は他では真似の出来ない独自性がある。
アンソニー・ジョンソン(Anthony Johnson)もリアルなジャマイカの問題を捉えて成功した一人である。彼が発表した'Gun Shot'は社会に対する重要な警告を発している。更にジャー・トーマス(Jah Thomas)はキラマンジャロ(Killamanjaro)に所属していた、スーパー・キャット(Super Cat)の才能にいち早く目を付け、'Walk A Ton'、'Dancehall Inna New York'、'Me Glad She Gone'、'Weh Them A Fight Fa'といった曲を手掛けている。
ジャー・トーマス(Jah Thomas)は自身の作品も精力的に発表する傍ら、多くのパフォーマー達の魅力を最大限に引き出す事に成功した。また時代の主流となっていた定番リズムのリメイクの波にも旨く乗り、アンサー(Answer)、カム・ホーム(Come Home)、へヴンレス(Heavenless)、フル・アップ(Full Up)といったリズムを積極的にリメイクしていった。近年でも定期的にリリースが届けられ、息子であるダヴィル(Da'Ville)との共演等精力的な活動を見せている。
2008/08/21 掲載 (2008/08/22 更新)