King Edwards(キング・エドワーズ)Text by Dub Store Sound Inc.
1955年のサウンド・システム設立から1964年までと、実質の活動期間は短いながらジャマイカ音楽の発展に大きな功績を残した。サウンド・システム創世記の時代にコクソン、デューク・リードと激しく凌ぎを削った。レーベルの代表曲'Shank I Sheck'は今尚生き続けるファウンデーション・リズムとしてリメイクされ続けている。
King Edwards
設立 |
1961年 |
設立地 |
ジャマイカ キングストン |
設立者 |
Vincent King Edwards |
プロデューサー |
|
関連アーティスト |
|
関連レーベル |
|
創設者のヴィンセント・キング・エドワーズ(Vincent King Edwards)は、50年代から自身のサウンド・システム、キング・エドワーズ・ザ・ジャイアント(King Edwards The Giant)を引っさげ、シーンを牽引した。
現在まで続くジャマイカの音楽的伝統文化であるサウンド・システム創世記の重要人物という訳である。ジャマイカのサウンド・システムのパイオニア、トム・ザ・グレート・セバスチャン(Tom The Great Sebastien)に続く、クレメント・シーモア・ドッド(CS Dodd)のサー・コクソンズ・ダウンビート(Sir Coxsone's Downbeat)、アーサー・デューク・リード(Auther Duke Reid)のデューク・リード・ザ・トロージャン(Duke Reid The Trojan)と共に"ビッグ・スリー"と呼ばれ、激しく凌ぎを削った。
彼はコクソン、リード同様にアメリカの珍しいレコードを集めたセレクションで1950年代後半から60年代前半にかけて全盛期を迎えた。他のサウンドが聴いたことも無い様な珍しいレコードをプレイし、ジャマイカにおけるリズム&ブルースの状況を一変させてしまう程だった。こうしてサウンド・システム間の競争は更に激しさを増していく。
60年代初頭から自身のレーベル、キング・エドワーズとジャイアントをスタートした彼はスカタライツ(Skatalites)のメンバーを中心として数々の素晴らしいセッションを記録した。'Jazz Ska'、'Bus Strike'、'Dr No'、'Lonely Man'、'Lon Chaney'等、数え上げればきりが無い程の名曲を残した。これらの作品はスカ・ファンの間で今尚絶対的な支持を得ている。
中でも特筆すべきは、トランペット奏者、ババ・ブルックス(Baba Brooks)名義の'Shank I Sheck'だろう。タイトルの'Shank I Sheck'とは中国の指導者、蒋介石の意味で、後にオーガスタス・パブロ(Augustus Pablo)等が傾倒した"ファー・イースト・サウンド"の走りと言える。思わず口ずさんでしまうこの単調のリズムは後に何度もリメイクを繰り返され、その時代毎のヒット曲を多数生み出している。
レゲエの代名詞であるリズムのリメイクを遡ると、この時代に生まれた物でいわゆるファウンデーションとして生き続けるリズムは他には無い。このリズムがいかに革新的であったかということを事実が物語っている。
ヴィンセント・キング・エドワーズは1961年から1964年までとレーベルの運営期間は短かったにも関わらず、最上級のスカを多く生み出した。レコード業界を引退した後、彼は政界に入り、人民国家党(PNP,People's National Party)から国会議員に選出されるという素晴らしいキャリアを積み、その後、競走馬のチャンピオン・ブリーダーとしての人生を歩んだ。
2008/01/17 掲載 (2014/04/21 更新)