Fashion(ファッション)Text by Dub Store Sound Inc.
1980年から90年代後半にかけて隆盛を誇ったイギリスの名門レーベル。イギリスのアーティストのみならずジャマイカ人アーティストの作品も多数手がけた。ラヴァーズ・ロックからダンスホールまでその幅の広いレーベル・カタログによってイギリスのシーンを支配した。
Fashion
設立 |
1980年 |
設立地 |
イギリス ロンドン |
主要スタジオ |
A-Crass Studio Mark Angelo Penthouse |
設立者 |
Chris Lane John MacGillivray |
プロデューサー |
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エンジニア |
Chris Lane Gussie P |
1980年、クリス・レイン(Chris Lane)とジョン・マッギルヴレー(John MacGillivray)の2人によって設立されたレーベル。ジョン・マッギルヴレー(John MacGillivray)はロンドンの老舗レコード店、ダブ・ヴェンダーのオーナーとしても良く知られる。スタジオ・ワン(Studio One)からの影響を色濃く感じさせるこのレーベルは、ラヴァーズ・ロックからダンスホール、ハードなルーツまで幅広い楽曲を多数手がけ、ロンドンのスタジオ、レコード会社の中で、最も強い影響力を持った存在であった。彼等はジョン・マッギルヴレー(John MacGillivray)のダブ・ヴェンダーの階下にスタジオを構え、数々の革新的で力強いリズムを生み出し、80年代から90年代のシーンをまさに席巻したのである。マフィア・アンド・フラクシー(Mafia & Fuxy)やジャズワド(Jazzwad)、アズワド(Aswad)のメンバーであるマッシヴ・ホーンズ(Massive Horns)等のミュージシャンが支えたサウンドはオリジナルからリメイクまで、全てが高いレベルを保っている。
ファッション(Fashion)からは、スマイリー・カルチャー(Smiley Culture)やジェネラル・リーヴィ(General Levy)、ダディー・フレディー(Daddy Freddie)といったイギリス勢から、カッティ・ランクス(Cutty Ranks)、パパ・サン(Papa San)、ルーテナント・スティッチ(Lt. Stitchie)等のジャマイカ勢まで、バラエティに富んだトップ・ランカー達が多数のヒット曲を出した。それだけでなくフランキー・ポール(Frankie Paul)、キング・コング(King Kong)、ウェイン・ワンダー(Wayne Wonder)等のダンスホール歌手、ジャネット・デイヴィス(Janet Davis)やピーター・ハンニゲール(Peter Hunnigale)、ジョン・マクリーン(John Mclean)等のラヴァーズ勢によるヴォーカル・チューンも全てが特筆すべき素晴らしい作品である。
彼等はまたキングストンの流行にも一早く反応出来るだけの行動力とアイディアも持ち合わせていた。ダンスホールにディジタル化の波が押し寄せると、その衝撃にも柔軟に対応して見せた。コンピュータ革命の先駆け'Sleng Teng'の別カットや、スタジオ・ワンの傑作'Pretty Looks Isn't All'のリメイクに乗せた一連の作品、ダディー・フレディー(Daddy Freddie)、ジェネラル・リーヴィ(General Levy)といったディージェイ達が見せるパフォーマンスは本場ジャマイカのヒットチューンとも互角に渡り合える強力な物である。更に当時ジャマイカで隆盛を極めたコンビネーション・スタイルにも強力な面子を使って応戦、ファッション(Fashion)のクルー達は見事な手腕を発揮している。これらの作品は現在のダンスホールでも需要が高く、その評価は増すばかりである。
90年代に入るとテクノから派生したジャングルの登場にも反応し、新たなジャンルの登場と共に更なる進化を見せ、押しも押されぬトップ・レーベルとしての地位を完璧な物とした。ファッション(Fashion)は当時のイギリスのパフォーマー達の登竜門であり、ファッション(Fashion)から曲をリリースする事は一流の証明でもあった。その点は時代は違えど名門スタジオ・ワン(Studio One)と同じような位置付けで捕らえる事が出来るだろう。
2008/03/04 掲載 (2009/06/05 更新)