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トップ特集・オリジナルコンテンツアーティスト名鑑Ernest Ranglin
アーティスト特集
Ernest Ranglin(アーネスト・ラングリン)Text by Harry Hawks
世界的に評価を得ているジャズ・ギタリストとしてだけでなく、アーネスト・ラングリンは近代ジャマイカン・ミュージックの'建築家'='創始者'の1人でもある。
Ernest Ranglin
出生 1932年6月19日
出身地 ジャマイカ マンチェスター 
関連アーティスト
マンチェスター教区で1932年6月19日に生まれたアーニー(Ernest Ranglin)は、祖母のエステラ・キャンベル(Estella Campbell)がアヴェンスト教会でオルガンを弾き、伯父のシドニー(Sydney)とレスター・キャンベル(Lester Campbell)の2人がウクレレを演奏する環境に育った。アーニーは6歳にしてイワシの缶詰の空き缶と釣り糸を使い、独自の楽器を製作した。その後、彼は独学で楽譜を学び、正式な教育を受けるためにキングストンに移り住むともう一人の奇才、名演奏家であるモンティ・アレキサンダー(Monty Alexander)と一緒にライブでのパフォーマンスを開始、15歳にしてヴァル・ベネット・バンド(Val Bennet Band)に加盟した後に、エリック・ディーンズ・バンド(Eric Deans Band)へと活動の拠点を移した。控えめなチャーリー・クリスチャン(Charlie Christian)に影響を受けたスタイルは彼らのようなジャマイカにおけるジャズ界のレジェンドの人気に拍車駆ける主な要因であったと言えるだろう。

50年代、アーニーは多くのジャマイカにおけるジャズ・ミュージシャン同様に海外を回ったりもしたが、彼は故郷であるジャマイカに留まり伝統的なメントのスタイルでの録音を行なった。彼は50年代中期から後期にかけてサウンドシステムらが自分たちの音楽製作を始めた際の伝説的な大演奏家の1人でもある。彼の生まれながらに持った音楽能力といかなるスタイルにも対応できる能力は自身が記憶することができないくらい多くの録音のバックを務めたことを意味する。クルー・ジェイ・アンド・ヒズ・ブルース・ブラスターズ(Clue J and His Blues Blasters)のクレジットされることのなかったメンバーとして、ジャマイカ産初となるリズム・アンド・ブルースの録音で多くの演奏を残していて、とても影響力のある'Shuffling Jug'、セオフィラス・ベックフォード(Theophilus Beckford)がクレメント'コクソン'ドッド(CS Dodd)のもとで録音した'Easy Snapping'などが一例に挙げられる。さらに彼はグランヴィル・ウィリアムズ・オーケストラ(Granville Williams Orchestra)の一員として、1956年に発表されたビル・ドゲット(Bill Dogget)のリズム・アンド・ブルース楽曲'Honky Tonk'をスカで再演した'Honky Tonk Ska'は原曲とはまったく違い、ワクワクさせる楽曲にアップデートされた。

年も暮れようとする1963年、ロンドンに辿り着いた彼は自身の見事なテクニックと長い経験によってしか生まれることのない演奏における落ち着きによって地元のジャズ・ミュージシャンたちに驚きと衝撃を与えた。ロニー・スコット(Ronnie Scott)の世界的に有名なジャズ・クラブ(Jazz Club)の専属ギター奏者となり数多くのゲスト・アーティストたちのバックを務めた。イギリス滞在時、彼はミリー・スモール(Millie Small)の'My Boy Lollipop'の制作指揮を取り、1964年初頭、イギリスのチャートで2位を記録する、スカにとって初めてのクロスオーバー・ヒットになった。1956年に発表されたバービー・ゲイ(Barbie Gaye)のリズム・アンド・ブルース楽曲'My Boy Lollipop'を変貌させたクレジットはいつも通りクリス・ブラックウェル(Chris Blackwell)のものとなるも、ビヴァリーズ(Beverleys)からリリースされたジャマイカ盤の'My Boy Lollipop'には「Accompaniment Directed by Ernest Ranglin(アーネスト・ラングリンによる指揮)」と記された。スカが世界的にヒットすると理解したのは鋭い洞察力かもしれないが、それはバービー・ゲイの激しいリズム・アンド・ブルース楽曲をロンドンで録音されたにも関わらずジャマイカの音楽に一変させたラングリンの才能だった。そしてあらゆるスタイルを吸収し、混ぜ合わせ、確実にオリジナルな何かを制作する能力をさらに示すものだった。

キングストンに戻るとアーネストはフェデラル(Federal)の専属アレンジャーとしてケン・クーリ(Ken Khouri)と契約を結び、アルバム「Mod Mod Ranglin」などといったソロアルバムをリリースした。60、70年代を通して彼はプリンス・バスター(Prince Buster)、ビヴァリーズのレスリー・コング(Leslie Kong)、クランシー・エックルズ(Clancy Eccles)、またリー・ペリー(Lee Perry)の率いたアップセッターズ(Upsetters)の一員として、さらには必ず見事な録音を残したスタジオ・ワン(Studio One)でフリーランスとしてジャマイカ国内の一流プロデューサーたちのために活動を行った。クレジットされてはいないがザ・ウェイラーズ(The Wailers)の失恋曲'It Hurts To Be Alone'(控えめなソロと激しく流動的なソロ演奏が2つ別々に録音された)は自由で、文句なしの天才による作品で、録音に貢献した作品として知られる。彼の流動的なギター・メロディーはコクソンの手掛けた多くのファンデーション・リズムに乗せられ、'West Of The Sun'と題された'Love Me Forever'、アーネスト・ウィルソン(Ernest Wilson)の'Undying Love'からの'Straight Flush'などが一例に挙げられる。そして傑作と称され、一度聴いたら忘れることのできないオリジナル楽曲'Surfin'、スピリチュアルな'Walls Of Jericho'を'Jericho Skank'に変貌させたりした。これらのオリジナル楽曲はしばし、スタジオ・ワンのハウスバンドであったザ・ソウル・ベンダーズ(The Soul Vendors)やサウンド・ディメンション(Sound Dimension)にクレジットされ、アーネスト・ラングリンが編曲やソロとして最終的にきちんとしたクレジットを得ることができたのは、スタジオ・ワンがコンピレーションCDアルバム「Sounds & Power」をリリースした際のことだった。

セッション・ミュージシャンとして仕事が絶えることのなかったアーネスト・ラングリンは自身のジャズ・プロジェクトの多くを制作する時間を持っていた。1996年に彼はクリス・ブラックウェルと一流アルバム「Below The Bassline」を制作するために再会、アイランド・ジャマイカ・ジャズ(Island Jamaica Jazz)からのリリースとなったこの作品は今となってはレゲエの代表曲となった'None Shall Escape The Judgement'や'Cassava Piece'などをアーネストが新たに解釈し再演したものだった。恐れを知らない彼は1998年、バーバ・マール(Baaba Maal)など西アフリカのミュージシャンとチームアップし「In Search of the Lost Riddim」を制作、このアルバムは成功し続いたツアーはそれ以上でステージでのショーは人々を魅了した。もしアーニー・ラングリンが彼の世代で最も音楽を習得した人物であることを証明するにさらなる証拠が必要だとした場合、彼がどこでも、どんなリズム・スタイルでも簡単にこなすことができることがその証拠だろう。最近(2011年11月)、東京で行われたリズム・ツインズ(The Rhythm Twins)で知られるスライ&ロビー(Sly & Robbie)との公演は60年以上に渡る彼のキャリアで新たな成功となったことは記憶に新しい。

彼は1973年にジャマイカ政府より音楽への貢献が認められ勲位「Order of Distinction」を授与され、2002年にはジャマイカにおける音楽発展への多大な貢献によって西インド諸島大学より博士号を与えられた。2008年には「Jamaica Association of Vintage Artistes and Affiliates」のジャマイカ音楽の殿堂入りを果たし、才能溢れるアーネスト・ラングリンの一流プロの典型で静かな物腰、謙虚な性格は彼の明確な才能とは対照的なもので、真のオリジナル・アーティスト、本当の偉大なアーティストである彼のジャマイカ音楽における発展ならびに作品の影響は類を見ないものだ。もし60年代にベニー・グリーン(Benny Green)に誰がお気に入りにギター演奏者と聞いたならば、彼は笑顔で「みんな」と答えただろうが、彼の足跡を辿った多くのアーティストやミュージシャンが同じ質問を聞かれたら間違いなく「Ernest Ranglin」と答えるだろう。

2019/09/06 掲載
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B side) Granville Williams Orchestra - Love Me With All Your Heart
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