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トップ特集・オリジナルコンテンツアーティスト名鑑King Jammy
アーティスト特集
King Jammy(キング・ジャミー)Text by Harry Hawks
コンピューターによるレゲエ・ミュージックの発展において最も重要なプロデューサー。
King Jammy
本名 Lloyd James
出生 1947年10月26日
出身地 ジャマイカ モンテゴ・ベイ ウォーターハウス
1980年代半ば以降、ジャミー(Lloyd James)はジャマイカの音楽で起きているすべての中心だった。彼の評価はリリースされる驚きの録音に対してだけでなく、多くの夜に彼のサウンドシステムが熱いサウンドクラッシュを繰り広げたことにもある。

80年初期にジャミーは最高峰ともいえる質の高いルーツ作品をプロデュースしていたが、一緒に制作していたハーフ・パイント(Half Pint)として知られるウォーターハウス出身の若手アーティストが音楽の道を示した。ジャミーの新しいサウンドはレゲエの精神に誠実であり続けるも、デジタル・テクノロジーを取り入れることで70年代と90年代のラガの音を繋ぐ橋を作った。

キングストンのサウンド、ブラック・スコーピオ(Black Scorpio)で歌っていたハーフ・パイントはダンスホールで発せられる生々しい興奮をレコードに移す能力を持っていた。アール・チナ・スミス(Earl Chinna Smith)のレーベル、ハイ・タイムズ(High Times)のバンドとして知られたハイ・タイムズ・バンド(High Times Band)がハーフ・パイントのアルバム「Money Man Skank」の演奏を担当した。このリリースはダンスホールからデジタルへの過渡期で鍵となるレコードである。その一方でルーツ・ラディックス(Roots Radics)も80年代に入ってから新しいアプローチに取り組んできていた。余分な要素を剥ぎ取り骨だけにした模範となるサウンドはコンピューター・テクノロジーの到来によってもたらされた論理的な結論だった。ラディックスは「基礎に立ち戻る」というアプローチが上手く行くことを示したが、コンピューターによって構築されたリズムのパターンは大きく変わるも、彼らの作品はさらによくなっていった。

「真のブレイクは1985年末、ウェイン・スミス(Wayne Smith)の'Under Mi Sleng Teng'によって起きた。この革命的な録音は、カシオのキーボードに登録されていたロックンロール・リズムのスピードを落としたもので、セント・ルシア・ロードにあったアイリス(Iris*後に妻となる)の家にあった寝室を利用した小さなジャミーのスタジオで録音された。ジャミーはプリンスからキングとなり、残る80年代にわたってジャマイカの音楽シーンを支配した」デイブ・ヘンドリー(Dave Hendley)

80年代前期、ジャミーのためにアルバム「Youth Man Skanking」をすでに録音していたウェイン・スミスは1984年になって再びジャミーと活動を始めた。ノエル・デイリー(Noel Dailey *Noel Bailey:ノエル・ベイリーともいう)と彼のカシオ・キーボードを使って練習する中、彼らはスピードを落としてロックのリズムの使っていたがこのリズムを見失ってしまった。ノエルはこのリズムを見つけるために数日を費やし、最終的に再び見つけると彼らはすぐにジャミーのもとを訪ねた。

「'スレン・テン'って言葉が俺の心にひらめいて、この曲ができた」ウェイン・スミス

トニー・アッシャー(Tony Asher)は当時、電子キーボードを持っていた数少ないミュージシャンでその使用方法に慣れていたことから、最終的なリズム・トラックを構築した。その衝撃は即効性を持っていた。60年代の傑作リズムをアップデートしてリメイクするという流行はすぐに忘れ去られ、皆がこぞって'Sleng Teng'の波に乗ろうと列を成した。このアレンジされたエディ・コクラン(Eddie Cochran)のリフは最もヴァージョンとして使われたリズムとして、リリースから数ヶ月で200以上のテイクがリリースされたほどだ。デジタル・レゲエ期が到来し音楽の制作方法が取り返しのつかないほどに変わったのだった。

'Sleng Teng'がそんなドアを開けたわけだが、もう一つモダン・ダンスホールのサウンドを祝福するかのようなジャミーのリズムが存在する。ある日曜日の午後、ジャミーとスティーリー・アンド・クリーヴィー(Steely & Clevie)、ボビー・デジタル(Bobby Digital)はスタジオで、アドミラル・ベイリー(Admiral Bailey)が'Punanny'を録音したリズムの制作に取り掛かっていた。女性の性器を意味するこのきわどいジャマイカの俗語はあくる90年代ダンスホールやジャグリン、ラガのビートとして皆のリズム・テンプレートとなった。高いスタジオ費、コストのかかる本物のミュージシャンはレコードを制作する上でこれ以上必須ではなくなり、多くの新しいプロデューサーやアーティストたちの後押しとなり、新しい波が訪れた。

プリンス・ジャミー(Prince Jammy)はキング・ジャミー(King Jammy)へ昇格、どこでも見ることができる彼の青と白のレーベル・デザイン、キング・ジャミーズ・スーパー・パワー・サウンド・システム(King Jammy's Super Power Sound System*ジャミーはシステム再構築、サウンドを増築させることで、ジャミーズ・ハイファイからジャミーズ・スーパー・パワーへと変名)は残された80年代、いつでも最前線あった。さらに、1987年に最優秀プロデューサーして熱望していたロッカーズ賞を獲得した。

新しい才能を育成しようとしたジャミーの心持ちは常に彼が一流のエンジニアとミュージシャンに囲まれていたことを意味する。ジャミーのデジタル革命をともにした人たちは結果として後にそれぞれのキャリアを成功させている。ボビー・ディクソン(Bobby Dixon)はジャミーいわく、「俺が今までに会った中でも吸収力の早い男だ」。彼は技術的なすぐれた才能から'ボビー・デジタル'というニックネームを授かった。そしてクルーの重要なメンバー2人がスティーリー・アンド・クリーヴィーとして知られるワイクリフ'スティーリー'ジョンソン(Wycliffe 'Steely' Johnson)とクリーヴランド'クリーヴィー'ブラウン(Cleveland 'Clevie' Browne)だった。

「レコードのクレジットは何か新しいことをしようとしているジャミー自身に付随しなければならない。しかし、ジャミーは自分自身を若いヴァイブスのそばに保ち人々が何を望んでいるかを分っていた」ベス・レッサー(Beth Lesser)

マイキー・ベネット(Mikey Bennett)もジャミーと幅広く活動した。彼によるセント・ルシア・ロードでの作品はジャミーが8トラックのテープレコーダーを16トラックの機械にアップグレードした際のものである。また、ブライアン・アンド・トニー・ゴールド(Brian & Tony Gold)として広く認知されるブライアン・トンプソン(Brian Thompson)とウィンストン・ヒスロップ(Winston Hislop)がジャミーズ楽曲の多くでバック・ボーカルを担当した。ジャミーの'右手'として彼の兄弟であるトレヴァー'アンクルT'ジェームス(Trevor James)はいつも彼を支え、ジャミーは適材適所、適した人たちを集め的の外れることがない能力を見せ続けた。

ジャミーの音楽は大衆から人気を集め、最隆期に7インチ、12インチ、LPなどすべてのフォーマットからリリースされたレコードの量は信じがたいものだった。業界の理解があり、世界にリンクを持っていたことから、彼のレコードはいつでもキングストン、ロンドン、ニューヨークで手に入れることができた。また、キング・ジャミーズ・スーパー・パワーは最高のディージェイとダブプレートを保有するナンバーワンのサウンドでもあった。ラガ期に最も成功したディージェイであるシャバ・ランクス(Shabba Ranks)はキング・ジャミーズ・スーパー・パワーでその名を売り、ブレイクのきっかけとなった多くの録音がキング・ジャミーによって制作されたものだった。ジャミーズ・レコーディング・スタジオは無数のスターやこれからのスターがこのサウンドシステムのオペレーターたちのためにスペシャルを吹きこもうという機会を待つほどの音楽活動の拠点だった。当時3つあったダブ・カッティング・スタジオの一つだった。

数え切れないほどのアーティストがジャミーズ・レーベルからデビューを飾り、無数の確立されたスターも彼のウォーターハウスのスタジオで録音を行なった。新旧問わず、シンガー、ディージェイ、ミュージシャンがそれぞれのパートに専念し、総括的なジャミーのサウンドを築いた。慎ましく始まったジャミーの音楽事業は2つのレコーディングスタジオとプレス工場にまで発展、4人の息子であるジョン・ジョン(John John)、クリストファー'CJ'(Christopher 'CJ')、トレヴァー'ベイビーG'(Trevor 'Baby G')、ジャム2(Jam 2)は音楽制作に携わり、セント・ルーシアを拠点にするこのファミリーの将来は音楽の王家となることに違いない。
2019/06/21 掲載
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