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トップ特集・オリジナルコンテンツアーティスト名鑑Trinity
アーティスト特集
Trinity(トリニティー)Text by Harry Hawks
100枚以上の7インチシングル盤、70枚以上の12インチ盤、15作品以上のアルバムにクレジットされているトリニティーは最も人気のあった1人だっただけでなく70年代中期以降、最も多産なディージェイの1人でもあった。
Trinity
本名 Wade Brammer
出生 1954年2月10日
出身地 ジャマイカ キングストン 
関連アーティスト
1954年2月10日、キングストンのジュビリー病院で生を授かったウェイド・ブラマー(Wade Brammer)はマヴェリー・アヴェニューとオークランド・ロード地区で育った。「俺はボーイズ・タウンの学校に通っていたんだ」彼にとってお気に入りのサウンドシステムはスミス・ザ・ウェポン(Smith The Weapon)、偉大なるデニス・アルカポーン(Dennis Alcapone)がディージェイを務めたエル・パソ(El Paso)、サー・コクソン(CS Dodd)のザ・ダウンビート(The Downbeat)、キング・タビーズ・ホーム・タウン・ハイファイ(King Tubbys Home Town Hi Fi)、サー・パーシー(Sir Percy)のザ・ウェルーターウェイト(The Welterweight)だった。学校を卒業すると彼は配管工としての訓練を受けるも、音楽の魅力が彼にとって大きすぎたのか、プリンス・グレン(Prince Glen)としていくつかの地元のサウンドシステムでディージェイするようになり、1974年にはエノス・マクリード(Enos McLeod)、ウィンストン・エドワーズ(Winston Edwards)、ロイド'スパイダーマン'キャンベル(Lloyd 'Spider Man' Campbell*Lloyd Campbell)の下で録音を行なった。

1976年初頭、ウェイドの友人であり良き助言者だったレスター・ブロックス(Lester Bullocks)、通称ディリンジャー(Dillinger)は彼をマックスフォールド・アヴェニューに連れて行き、チャンネル・ワン(Channel One)のジョジョ・フーキム(Joseph Hookim)に引き合わせた。聖書から引用して彼をトリニティーと呼ぶべきだと決めたのも彼だ。ビッグ・ユーツ(Big Youth)のカルチュラルかつスタイルにおける影響を消化したトリニティーはジョジョがザ・レヴォルーショナリーズ(The Revolutionaries)と制作した最新の'ミリタント'もしくは'ロッカーズ'リズムに乗り、一流のディージェイであることを証明した。彼はチャンネル・ワンのために'Set Up Yourself'、'All Gone'、'MPLA'/'Freedom Blues'のヴァージョンに乗って「Good, Better Best...」と気まぐれな若者が学校に行くことをおろそかにしないようにと願った'School Days'の3曲を録音。これら最高のリリースによってトリニティーはキングストン界隈で新星のスターとして地位を確立したのだった。

ウェル・チャージ(Well Charge) レーベルからのリリース後、トリニティーはジーザス・ドレッド(Jesus Dread)として知られ、これまでに制作された最も神聖さに溢れたディープなルーツ・ミュージックを手掛けていたヴィヴィアン'ヤビー・ユー'ジャクソン(Vivian Jackson)との制作活動に乗り出した。トリニティーはウェイン・ウェイド(Wayne Wade)の'Lord Of Lords'や'Consumption Tax'、'Jamal Foundation'に言葉を重ね大声で叫び、ヤビーの'King Pharaoh Plague'ではディリンジャーとコンビネーション・スタイルでディージェイを披露した。傑作とも言えるヤビー・ユー(Yabby U)の12インチ盤'Chant Down Babylon'のB面'King Pharaoh Plague'では「ヤビー、あいつはは何を言ってんだ?(What the man say Yabby?)」と最高のパフォーマンスを聞かせた。評論家は1977年のベスト作品の一つだと評価しているほどだ。

そういった12インチというフォーマットは「ディスコ・ミックス」として大きな人気を集め、33回転盤アルバムの長さに45回転盤シングルとして収録されたことでその音に透明度と深さを与え、あらゆる意味で音楽への「実験的」アプローチを紹介するきっかけとなった。大きく改善されたダイナミックな低域と広域音はジャマイカ音楽に新たな方向を示すものとなり、ヴォーカル・カットにディージェイ・ヴァージョンがリズムの途切がなく続き、ときとしてダブ・ヴァージョンが続いた。また'Two Sevens Clash'で知られた77年はトリニティーの年でもあり、トリニティーを収録していないディスコ・ミックスはディスコ・ミックスと呼ぶことが出来なかったといっても過言じゃないだろう。ザ・マイティ・トゥー(The Mighty Two)とも呼ばれたジョー・ギブス(Joel Gibson)とエロール・トンプソン(Errol Thompson)のためにマーシャ・エイトキン(Marcia Aitken)の'My Man'(ザ・テクニクス"The Techniques"の'My Girl'のリメイク)のディスコ・ミックスで'Blouse & Skirt'を披露するなど、ルビー・トーマス(Ruddy Thomas)がボブ・アンディ(Bob Andy)の'Feeling Soul'をカバーした作品では旋風を巻き起こした。また、ガッシー・クラーク(Augustus Gussie Clarke)のもとで制作した素晴らしい'Funny Feelings'ではデニス・ブラウン(Dennis Brown)のヒット曲の最後に飛び乗って披露したディージェイは傑作の一つと言えるだろう。

しかし、友人であるディンリンジャー同様にジャマイカの一流ディージェイとしての地位を獲得したのはジョー・ギブスのレーベル、ベルモント(Belmont)から7インチ盤'Three Piece Suit'をリリースしてからだった。アルトン・エリス(Alton Ellis)の'I’m Still In Love'をマーシャ・エイトキンがアップデートしたこの自慢たらしい歌はトリニティーの見え隠れする陽気ながらも堂々とした彼の芸術性の一部を披露した。すぐに同レーベルからアルバム「Three Piece Suit」が続いて発表され、アンサー楽曲として発表されたアレサ・アンド・ドナ(Aletha & Donna)の'Uptown Top Ranking'は驚くほどの世界的ヒットになり、1978年イギリスのチャートで1位に輝いた。不運にもトリニティーのオリジナル・ヴァーションが同様のヒットとなることはなく、どちらかというと風変わりに捉えられたようだが、何がクロスオーバーのヒットを作りだすのかという気まぐれはいつも謎だ。しかし、1978年4月22日、キングストンのナショナル・スタジアムで催された「One Love Peace Concert」の出演者リストに載っていることからジャマイカにおけるトリニティーの人気は絶大なものだった。

トリニティーにとってマイティー・トゥーとの発表作が成功したことは、カルチュラルな歌詞から離れ80年代のもっと現実的なアプローチを早い段階で示していた。ルーツ・カルチャーの商業化に対してしかめた面を見せるも、途切れることなく同時にカルチャーとユーモアを妥協のないスタイルで遂行し続けたトリニティー。マイティー・トゥーが再制作したウェイリング・ウェイラーズ(Wailing Wailers)の'Hypocrite'でディージェイを披露した'John Saw Them Coming'では「分かるか?黒人は自分たちを知る必要がある。フン!テレビの9チャンネルで'Roots'という映画を見ればわかるさ!」とリスナーに訴え、トリニティーのアプローチは新たなディージェイ世代に大きな影響を与えただけではなく、あくるダンスホール・スタイルのディージェイたちの模範ともなった。

80年代に入ってからトリニティーはこれまでと同様に第2のキャリアをジュニア・ブラマー(Junior Brammer)という名前でシンガーとして成功させた。ディージェイが熱いことをやっているときこそが本当に熱いのだが、当然変わりゆくレゲエ・ミュージックのスタイルと流行によってトップで活躍できるのはつかの間である。栄光なる数年の間、トリニティーに優る者は存在しなかったことはあくる20年間、ジャマイカや海外でリバイバルやベテランのショーで一流アーティストになった理由だ。彼の並外れた才能は、生でマイクを握りディージェイを聞き、そのスリルを味わった新たなオーディエンスに紹介されることで息を吹き返す。

余談だがトリニティーの弟ロバート・ブラマー(Robert Brammer)もディージェイとして大きな成功を収めているクリント・イーストウッド(Clint Eastwood)として知られる。あのクリント・イーストウッド(俳優)ではない...ディージェイ・デュオとして活躍したクリント・イーストウッド・アンド・ジェネラル・セイント(Clint Eastwood&General Saint)の1人だ!

参考文献:
Steve Barrow: Liner Notes 'Shanty Town Determination' – Trinity
Blood & Fire BAFCD 031 February 2000
Paul Coote: Wholly Trinity Black Music Volume 3 Issue 4 August 1980

2011/08/11 掲載 (2012/11/01 更新)
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