High Times(ハイ・タイムズ)Text by Dub Store Sound Inc.
フレディ・マクレガーの一連のヒット作やソウル・シンディケートのインストゥルメンタルで知られるレーベル。ジャマイカを代表するギタリスト、アール・チナ・スミスがプロデュースを手掛けた。
High Times
設立地 |
ジャマイカ キングストン |
主要スタジオ |
Channel One Tuff Gong |
設立者 |
Bertram Brown Earl Chinna Smith |
プロデューサー |
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エンジニア |
Errol Brown Karl Pitterson Maxie Stephen Stewart, |
関連アーティスト |
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ジャマイカン・ミュージックの歴史を築き上げた偉大なるギタリスト、アール・チナ・スミス(Earl Chinna Smith)とフリーダム・サウンズ(Freedom Sounds)を手掛けたバートラム・ブラウン(Bertram Brown)によって設立されたプロダクション。ハイ・タイムズ・プレイヤーズ(High Times Players)、ソウル・シンディケート(Soul Syndicate)といったバンドが支えた力強いリズムがレーベルの特徴である。
1970年代後期、レコード店ハイ・ミュージック(High Music)と共に設立されたこのプロダクションは「業界におけるミュージシャン、演奏者への扱いを新たな方向へ導くこと」を目的として活動を行った。
レーベルからは輝かしいフレディ・マクレガー(Freddie McGregor)のシングル'Love Ballad'や'Natural Collie'、'Revolutionist'、'Mission Impossible'が発表され、大ヒットを記録した。アルバム「Freddie McGregor」も彼の長いキャリアにおいて一際素晴らしい代表作である。
ハイ・タイムズ(High Times)の特徴はその素晴らしいインストゥルメンタルにもある。ソウル・シンディケートのアルバム「Harvest Uptown」ではソウル、ファンクといった音楽的要素も取り入れ、'Fade Away'、'We Got Love'といった定番曲に加え、アール・チナ・スミスのアダルトなギターが楽しめる'Marijuana'はジャマイカ流のフィリー・ソウルと呼ぶことが出来るだろう。
またセカンド・アルバム「Was, Is & Always」では'Tonight'、'There's A Fire'、'That's Life'、'Just Another Girl'等といった名曲を題材に、洗練されたフュージョン・レゲエを聴かせている。
アール・チナ・スミスがソロ名義で発表した「Sticky Fingers」やスカタライツ(Skatalites)のオリジナル・トランペッター、ジョニー・ムーア(Johnny Moore)の「Something Special」等も代表作に挙げられる。
その後ジャマイカの音楽はダンスホールへと以降して行くが、ハイ・タイムズからは純粋な"ルーツ・ロック"の延長にある楽曲が発表された。イギリスのバンド、アスワド(Aswad)とコラボレーションを果たしたデニス・ブラウン(Dennis Brown)や、スタジオ・ワン(Studio One)でも活躍したデーヴォン・ラッセル(Devon Russell)といった歌手たちがその一例である。
そしてレーベルでも異色の存在感を放ったのが、知的なダブ・ポエトリーを聴かせたムタバルーカ(Mutabaruka)である。このジャンルの完璧なる名盤「Check It」では力強いリズムに支えられたトークを聴かせ、90年代に入ってもダンスホールで支持される楽曲を作り続けた。
またハウス・バンドであるハイ・タイムズ・バンドは様々なレコーディング・セッションに起用され、ヘンリー・ジュンジョ・ロウズ(Henry 'Junjo' Laws)と組んだ一連のレコードはダンスホールの聴衆に喝采をもって受け入れられた。
2009/10/20 掲載 (2014/04/16 更新)