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トップ特集・オリジナルコンテンツレーベル名鑑Trojan
レーベル特集
Trojan(トロージャン)Text by Harry Hawks
ロンドンを拠点にしたレゲエのレコード・レーベルの中でも最も成功したレコード会社、1969年から76年までの間に30曲近くイギリスのナショナル・チャートに入ったジャマイカの音楽をリリース。2000年代には再発盤市場を独占するほどの会社となった
デューク・リード(Duke Reid)のレーベル、トレジャー・アイル(Treasure Isle)は一流のサウンド・クオリティで常に信頼されていたが、皮肉にも彼のあまり知られていない傘下レーベル、トロージャン(Trojan)という名前がイギリスを拠点に音楽帝国を築いたトロージャンの由来である。

デューク・リードのライバルたちは様々なレーベルから変わりなく作品を発表したが、その一方デューク・リード(通称トロージャン)はいくつかの簡単に認識することのできる名前をいくつか持つことの重要性に気が付いていた。サウンドシステムの運営者たちが最初に音楽のプロデュースを開始すると、そのうちの1人だったデユークは彼にとって最初となるメントのレコーディングを行い、トロージャンやハイ-ライト(Hi-Lite)といったレーベルから78回転盤でリリースしたのだった。その後にリズム&ブルースやスカがダッチェス(Dutchess)やトレジャー・アイルで見受けられるようになった。トレジャー・アイルが60年代の残された時期を支配する中、多くの作品がソウル・ショット(Soul Shot)、スーパーソニックス(Supersonics)、シュアー・ショット(Sure Shot)、トロージャンなどからも発表された。ちなみに、トロージャンという名前は彼がサウンドシステムを運搬するために使っていたトラックがイギリスのトロージャン社製のものだったことに由来する。

1962年、クリス・ブラックウェル(Chris Blackwell)がイギリスでジャマイカ人プロデューサーたちの制作した楽曲をアイランド(Island)からリリースし始めた翌年、彼はデューク・リードの作品のライセンスを開始。ジャスティン・ハインズ&ザ・ドミノズ(Justin Hinds & The Dominoes)の'Carry Go Bring Come'は大成功を収め、アイランドはトレジャー・アイルやトロージャンで発表されたデュークの作品を発表し始めた。60年代も終わりに近くなるとアイランド・レコーズはその趣をイギリスのプログレッシブ・ロックに向けるようになり、そのジャマイカ音楽のカタログはアイランドとビート&コマーシャル(Beat & Commercial)が共同で運営する新しい会社トロージャン・レコーズへと移されたのだった。

70年代中期までにトロージャンの名前はレゲエ=トロージャン、レゲエの代名詞となったほどだ。ジャマイカ人のプロデューサーにとって自身の音楽を確実にヒットさせるには、このロンドンを拠点にするトロージャンが重要な手段となったのだ。アマルガメイティッド(Amalgamated)やプレッシャー・ビート(Pressure Beat)のジョー・ギブス(Joe Gibbs)、ビッグ(Big)のルーピー・エドワーズ(Rupie Edwards)、、クランディスク(Clandisc)のクランシー・エックルズ(Clancy Eccles)、デューク・リードとトレジャー・アイル、ダイナミック(Dynamic)のバイロン・リー(Byron Lee)、ゲイフィート(Gayfeet)とハイ・ノート(High Note)のソニア・ポッティンジャー(Sonia Pottinger)、GG'sのアルヴィン・ラングリン(Alvin Ranglin)、ハリーJ(Harry J)のハリー・ジョンソン(Harry Johnson)、ジャックポット(Jackpot)のバニー'ストライカー'リー(Bunny Striker Lee)、、ムーディスク(Moodisc)のハリー・ムーディ(Harry Mudie)、ランディーズ(Randys)のヴィンセント・チン(Vincent ‘Randy’ Chin)、サミット(Summit)のレスリー・コング(Leslie Kong)、テクニクス(Techniques)のウィンストン・ライリー(Winston Riley)、アップセッター(Upsetter)のリー'スクラッチ'ペリー(Lee Perry)、そしてビッグ・ショット(Big Shot)、グリーン・ドア(Grenn Door)、ソング・バード(Song Bird)など多すぎるほどのレーベル作品、さらにはデリック・ハリオット(Derrick Harriott)、キース・ハドソン(Keith Hudson)、ボブ・マーリー(Bob Marley)などインディペンデント・アーティスト兼プロデューサーの作品も取り扱った。

ジミー・クリフ(Jimmy Cliff)の'Wonderful World, Beautiful People'やハリーJオール・スターズ(Harry J All Stars)の'Liquidator'、パイオニアーズ(Pioneers)の'Long Shot Kick De Bucket'、アップセッターの'Return Of Django'これらすべてはトロージャンによるリリースで、1969年の秋までにイギリスのナショナル・チャート入りを果たした。これによってジャマイカの音楽は商業的観点からも真剣に捉えられるようになったのである。今まで想像することすら出来なかった市場をコントロールおよび支配しようと、その挑戦に買って出たのがトロージャンだった。

シングル盤2枚で買うことができ、お墨付きのヒット曲がアルバム全編に収録された人気シリーズ「Tighten Up」は、ジャマイカ音楽が次に踏み入れようとクロスオーバーする段階できわめて重要なものだった。これによってレゲエが定着し始め、イギリスで人気が最初に爆発し最終的に世界にも受け入れるようになったのだ。ビートルズ(Beetles)のポール・マッカートニー(Paul McCartney)はロックステディやレゲエを「Tighten Up」ミュージックと引用したほどだ。

それから5年間、トロージャンは何千ともいうレコードをロンドンでリリースした。ロンドンのチャーク・ファーム・スタジオ(Chalk Farm)でジャマイカ録音に弦楽器の"甘さ"を足すことでジャマイカ音楽の新たなマーケットを確立していった。ボブ&マーシャ(Bob Andy & Marcia Griffiths)の'Young, Gifted & Black'やブルーズ・ラフィン(Bruce Ruffin)の'Rain'はその一例で、イギリスのチャートで上位入りを記録し旋風を巻き起こした。また、彼らはイギリスで自分たちのプロデュース作品のリリースも開始、パトリック'ダンディ・リヴィングストン'(Patrick 'Dandy Livingston')は'Reggae In Your Jeggae'のヒットで知られたパイオニアーズを説得しギターのアレンジを加えて'Let Your Yeah Be Yeah'を録音、しかしトロージャン自身のプロダクションで最も商業的成功を収めたのはもともとドア・マンだったアレックス・ヒューズ(Alex Hughes)だった。彼はジャッジ・ドレッド(Judge Dread)のアーティスト名で'Big Shot'など子供じみたジャマイカのリズムに乗せて風刺を描写することで多く作品がクロスオーバーヒットとなった(ちなみに'Big Six'、'Big Seven'、''Big Eight'といった楽曲はBBCによってすべて放送禁止になった)。それでもと絶対に彼らの原点を忘れることはなかったトロージャンは、ボブ・アンディの'You Don't Know'、キース・ハドソンの'Melody Maker'、ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ(Bob Marley & the Wailers)の'Trenchtown Rock'いった無数の深いルーツ作品をリリース。1970年にはリー・ペリーから'Soul Rebel'をライセンスし初めてボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズのアルバムをイギリスでリリースするも、リスナーは準備が出来ていなかったのか、大きなヒットを記録することはなかった。1973年、ボブ・マーリーがアルバム「Catch A Fire」で世界的ブレイクを果たすと、1974年には73年に発表されたコンピレーション盤「African Herbsman」と一緒に「Soul Rebel」を「Soul Revolution」として再パッケージ化したアルバムをプロモートした。この頃からだろうか、トロージャンがジャマイカ音楽史における真の宝物を保有していることに気がついたのは...

サガ・レコーズ(Saga Records)のオーナーだったマーセル・ロッド(Marcel Rodd)は1975年にトロージャンのカタログを買収、彼らはビッグ・ユース(Big Youth)の'Natty Cultural Dread'や'Natty Cultural Dread'、シュガー・マイノット(Sugar Minott)の'Ghetto-Ology'などを含む重要な作品をリリースし続けたがこの時期からイギリスのヒースロー空港に降り立ったばかりのジャマイカ人プロデューサーたちにとってトロージャンは最初に立ち寄る場所ではなくなっていた。70年代も終わりに近づくとトロージャンは知的で奥深いコレクションをコンパイルするようになった。デイブ・ヘンドリー(Dave Hendly)とクリス・レーン(Chris Lane)が過去のカタログからコンパイルした驚きの「Rebel Music」や「The Upsetter Collection」、「The Best Of Beverley's」がその一例だ。過去に焦点をあて未来を見据えることで発表されたリリース作品はトロージャンを21世紀へと導く新たな模範を示した。

1985年、シャレセンス・リミテッド(Sharesense Ltd)がマーセル・ロッドからトロージャンを買収すると、スティーブ・バロウ(Steve Barrow)は「Studio Kinda Cloudy」や「Jumping With Mr. Lee」、デニス・アルカポーン(Dennis Alcapone)の素晴らしい「My Voice Is Insured For Half A Million Dollars」といったテーマを持った良心的なボックス・セット・シリーズのコンパイルを始めた。2001年、再びトロージャンはサンクチュアリ・レコーズ(Sanctuary Records)に売却され、ローレンス・ケイン・ハニーセット(Laurence Cane-Honeysett)の指揮の下、ジャマイカ音楽の全範囲をカバーする再リリース企画を開始。コンパイルに長けたエキスパート/アーティスト/作曲者を雇い、「Rebel Music」シリーズの続編を2作、さらには完璧なボックス・セット・シリーズ、非の打ち所がない「Reggae Pressure」がこの刺激的な時期に結果としてリリースされていった。

2007年にはユニヴァーサル・レコーズ(Universal Records)がサンクチュアリを買収、この時期にはひと握りのコンピレーションしかリリースされなかったが、これまでに発表されてきた彼らのレコードをみると、彼らの劇的リリースが再び始まるのは時間の問題だろう。
2010/04/19 掲載 (2014/03/27 更新)
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