Wackies(ワッキーズ)Text by Dub Store Sound Inc.
アメリカにおけるレゲエ・シーンを確立したニューヨーク・ルーツ・レゲエ・サウンドの立役者。NYにて録音、ミックスを施し、独自のサウンドを展開した。
Wackies
設立 |
1974年 |
設立地 |
アメリカ合衆国 ニューヨーク |
主要スタジオ |
Wackie's |
設立者 |
Lloyd Barnes |
プロデューサー |
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エンジニア |
Clive Hunt Lloyd Barnes |
関連アーティスト |
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関連レーベル |
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ワッキーズ(Wackies)レーベルのオーナー、ブルワッキー(Bullwackie)ことロイド・バーンズ(Lloyd Barnes)は1948年にジャマイカに生まれ、少年時代を首都キングストンで過ごした。
彼の思春期にあたる頃、ジャマイカではサウンドシステムが勃興、スカが誕生するという音楽的変換期を迎える。この頃バーンズはミュージシャンとしてプリンス・バスター(Prince Buster)の元で録音を残している。
短いスカの時代が終わり、ロックステディーという新しい波が起こり始めた1967年、ニューヨークへと移住した彼はまずサウンドシステムをスタートさせる。ジャマイカの最新の音や、トレジャー・アイル(Tresure Isle)のダブ・プレート等をプレイして彼のシステムは瞬く間に規模を拡大するのだが、70年代の始め暴力がはびこるダンスホールに失望し、サウンドシステムを止めてしまう。
この事件がきっかけとなり、有名な地下スタジオ、ワッキーズ建設を思い立ったのである。1974年頃から本格的に録音を開始し、ニューヨークで活動していたジャマイカ人歌手ウェイン・ジャレット(Wayne Jarrett)やジャマイカからの有名な訪問者、ホレス・アンディ(Horace Andy)やシュガー・マイノット(Sugar Minott)らを手がけていった。
多くのジャマイカ人プロデューサーと同じく彼も多くのダブ・アルバムを手がけたことで知られ、1977年に始まった「African Roots」ダブ・シリーズはワッキーズのセッション・クルーの主要メンバーであったクライブ・ハント(Clive Hunt)がブロンクスのスタジオ、ファイブ・アーツ(Five Arts)で制作したのが第一弾で、二枚目以降がメインのワッキーズ・レーベルからのリリースとなった。
バーンズとエンジニアのダグラス・リーヴィは、ジャッキー・ミットゥ(Jackie Mittoo)やクライブ・ハント(Clive Hunt)、リロイ・シブルス(Leroy Sibbles)といったジャマイカを代表する一流ミュージシャンと組んで、独自のワッキーズ・サウンドを作り上げていく。シャープで洗練されたこれらの音源は現在に至るまでレゲエのみならず、多くの音楽ファンを惹きつけてやまない。
ワッキーズ以前のアメリカのレーベルと言えば、バニー・リー(Bunny Striker Lee)やリー・ペリー(Lee Perry)等の作品をライセンスしてアメリカでリリースした物が多く、ニューヨークにて録音、ミックスを施し独自のサウンドを創造したと言う意味において、これらの作品はオリジナル・ニューヨーク・ルーツ・サウンドと呼ぶにふさわしい。
2007/12/01 掲載 (2014/04/21 更新)