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アーティスト特集

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Lord Creator（ロード・クリエイター）Text by Dub Store Sound Inc.

60年代から70年代初期にかけて活躍したトリニダード・トバゴ出身のシンガー。同じくジャマイカ以外の出身であるジャッキー・オペルと共にスカ・シーンにおける看板ヴォーカリストである。代表曲'King & Queen'や'Evening News'を始めランディーズ、スタジオ・ワンに素晴らしい録音を残した。

Lord Creator

本名	Kentrick Patrick
出生	1940年
出身地	トリニダード・トバゴ　サン・フェルナンド
関連アーティスト	Jackie Opel Skatalites

ジャマイカのシーンに多大な影響を与えた国外出身のミュージシャンは以外に多い。キューバ出身のローレル・エイトキン(Laurel Aitken)とローランド・アルフォンソ(Roland Alphonso)、バルバドス生まれのジャッキー・オペル(Jackie Opel)、そしてギター奏者、リン・テイト(Lynn Taitt)やロード・ブライナー(Lord Bryner)を輩出したトリニダード・トバゴ等、隣国の有能なミュージシャンたちもレゲエの発展において多大なる貢献を果たした。同じカリブ諸国からの移民達もしっかりとジャマイカ音楽史にその名を刻んでいるのだ。

トリニダード・トバゴ出身のロード・クリエイター(Lord Creator)ことケントリック・パトリック(Kentrick Patrick)もその一人で、1940年、トリニダードのサン・フェルナンドで生まれた。彼もまたジャマイカ音楽に多大なる影響を与えた人物である。

優しく囁く様な独特の歌唱法を最大の武器として数多くのヒット曲を持つ彼は、1959年、トリニダードのレーベル、クック・インターナショナル(Cook International)からリリースした'Evening News'でカリプソ・シンガーとしてのキャリアをスタート。この曲がカリブ海全域で大ヒットとなり、ジャマイカを始めとするカリブ諸国から一躍注目される存在となった。カリブ全域を回るツアーも精力的にこなし、ジャマイカにも度々訪れている。代表曲として挙げられるジャマイカの国家独立を祝う'Independent Jamaica'はその際に録音された物である。彼はその後1962年にジャマイカへと移り住み、活動の拠点とした。

彼の特筆すべき一連の作品群はヴィンセント'ランディ'チン(Vincent 'Randy' Chin)のランディーズ(Randys)とコクソン・ドッド(CS Dodd)のスタジオ・ワン(Studio One)にて録音された。ランディーズには62年の'Independent Jamaica'を始め、前に記した'Evening News'の別ヴァージョンや'Don't Stay Out Late'、'I'm Holding On'、'King & Queen'といった名曲を続々とリリースしていった。中でも'King & Queen'は1971年にクランシー・エックルス(Clancy Eccles)のクランディスク(Clandisc)から'Kingston Town'として再リリースし、こちらも初期レゲエ期における極めて重要なヒットとなった。この曲は後にUB40がロード・クリエイターへの敬意を込めて、カバー・ヴァージョンをアルバム、'Labour Of Love'に収録。世界的大ヒットを記録すると共にロード・クリエイターの名も再び大きく注目されることとなった。

同じくスタジオ・ワン(Studio One)にも素晴らしい上質の音源を多数残した。'Golden Love'、'Rhythm & Blues'、'Unfaithful Baby'、エチオピア賛歌として非常に初期の作品である'Ethiopia'も興味深い。これらの作品はランディーズでの作品群に一歩も引けをとらないクオリティーの高い作品である。そして彼の出世作となった'Evening News'をスタジオ・ワンからも再リリースしている。70年代も中頃になると録音数も減ってしまったが、彼の残した作品への評価は今尚絶大で、世界中のスカ・ファンの心を掴んで離さない。

2018/08/29 掲載