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レーベル特集

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Mafia（マフィア）Text by Dub Store Sound Inc.

70年代のシーンにおいて一際異彩を放ったレーベル。メインストリームとは一線を画す実験的なサウンドを展開し、聴けばすぐにそれと分かるオリジナリティを表現した。

Mafia

設立地	ジャマイカ　キングストン
主要スタジオ	Chalk Farm Channel One Harry J King Tubbys Randys
設立者	Keith Hudson
プロデューサー	Aston 'Familyman' Barrett Junior Walker Keith Hudson Lloyd Barnes
エンジニア	Sid Bucknor
関連アーティスト	Alton Ellis Augustus Pablo Big Youth Dellroy Wilson Dennis Alcapone Horace Andy Johnny Clarke Johnny Moore Keith Hudson Ken Boothe Soul Syndicate
関連レーベル	Imbidimts

70年代前半から活躍するシンガー兼、プロデューサー、キース・ハドソン(Keith Hudson)によって設立されたレーベル。彼はゲットー地区にて麻酔無しの歯医者を営んでいたという逸話も残っている。彼が主宰するこのマフィア(Mafia)やインビディミッツ(Imbidimts)といったレーベルからは実験的なサウンドが日々生み出されていった。彼が追求したサウンドは当時のシーンにおけるメイン・ストリームとは一線を画し、聴けばすぐにそれと分かる独創的な物であった。彼が手掛けた数々の作品に共通する鋭く尖ったリズムと、限界まで研ぎ澄まされたシリアスなサウンドはルーツ・ミュージックの歴史における極めて重要な1ページである。これらの要素を支えたのはジョージ・フリー・フルウッド(George Fully Fullwood)とカールトン・サンタ・デイヴィス(Carlton 'Santa' Davis)を中心としたソウル・シンディケート(Soul Syndicate)やアストン・ファミリーマン・バレット(Aston Familyman Barrett)、カールトン・バレット(Carlton Barrett)であった。

彼が最初に手掛けた大きなヒットは1971年にリリースされたケン・ブース(Ken Boothe)の'Old Fashion Way'である。この曲は関連レーベルであるインビディミッツ(Imbidimts)からリリースされ、初期のハドソン・サウンドの典型であると言えるクールでハードなリズムとケン・ブース(Ken Boothe)の躍動的なパフォーマンスが素晴らしい傑作である。この曲が大きなヒットを記録すると、当時の流れとしては当然であるが、U・ロイ(U Roy)の'Dynamic Fashion Way'とデニス・アルカポーン(Dennis Alcapone)の'Spanish Omega'というディージェイ・ヴァージョンもリリースされた。

彼は同時期に素晴らしい作品を多数手掛けているが、中でも評価に値するのが、スカタライツ(Skatalites)でも活躍したトランペッター、ジョニー・ディジー・ムーア(Johnny Moore)の'Riot'である。アフリカン・ジャズの巨匠として名高いヒュー・マサケラ(Hugh Masekela)の曲をリメイクしたこの曲に肩を並べるのが、ファー・イースト・サウンドの先駆者、メロディカ奏者オーガスタス・パブロ(Augustus Pablo)の'Fat Baby'や'Satan Side'のメロディカ・カット、ドン・D・ジュニア(Don D Junior)ことヴィン・ゴードン(Vin Gordon)の'Evil Spirit'、チャックルズ(Chuckles)名義で出たシリアスな'Satan Side'等である。更にホレス・アンディ(Horace Andy)やアルトン・エリス(Alton Elis)、ジョン・ホルト(John Holt)、デルロイ・ウィルソン(Delroy Wilson)といったヴォーカリスト達も素晴らしい作品を残している。

U・ロイ(U ROy)、I・ロイ(I Roy)、デニス・アルカポーン(Dennis Alcapone)、ビッグ・ユース(Big Youth)といったディージェイ達も彼のレーベルを彩った重要なパフォーマーである。先に触れた'Old Fashion Way'のディージェイ・ヴァージョンや実際にスタジオにバイクを持ち込んで録音されたバイカー・アンセム、'Ace 90 Skank'は凄まじい人気を獲得した。

彼の残した作品はアルバム単位でも非常に素晴らしい。ジョイント・インターナショナル(Joint International)の'Playing It Cool & Playing It Right'や、黒人の歴史を題材にした1973年の'Fresh Of My Skin'はハドソン自らの特徴的なヴォーカルを聴かせ、極限まで削ぎ落とされた刺すようなミックスが光る傑作ダブ、キング・タビー(King Tubby)による'Pick A Dub'は数あるダブ・アルバムの中でも間違いなく一握りの大傑作である。70年代後半からは拠点をニューヨークに移し、自身の作品を中心にリリースを続けたが、1984年に肺癌の為に死去。しかし彼の才能が爆発した素晴らしい作品の数々は今尚世界中のファンに高く評価され続けている。

2008/12/22 掲載