Terry Linen（テリー・リネン）Text by Dub Store Sound Inc.
今は亡きガーネット・シルクの再来と称される程の美声が魅力のシンガー。94年のシルクの死後、しばらく業界から離れていたが、99年ホイットニー・ヒューストンのカバー'Your Love Is My Love'の大ヒットにより劇的にシーンへカムバック。その後はコンスタントにヒットを飛ばし第一線で活躍している。
Terry Linen
| 本名 | Kiplin Simpson |
| 出生 | 1976年 |
| 出身地 | ジャマイカ セント・エリザベス レッド・バンク |
| 関連アーティスト |
幼い頃に父が彼を残してイギリスに渡ってしまった為、祖父母によって育てられるが、その後離れ離れだった母親と暮らす為にマンデヴィルへと移り住む。振り返ってみればこの出来事が彼にとってのまさにガイダンスだったと言えるであろう。マンデヴィル時代にガーネット・シルクやトニー・レベル(Tony Rebel)、ジェネラル・ディグリー(General Degree)等地元のアーティストや、サウンド・システム、ブラック・キャット(Black Kat)のパンサー(Panther)と知り合い素晴らしい時間と愛すべきレゲエ・ミュージックを共有することとなった。
アーティストとしてのキャリアのスタートはサウンド・システム、ミリオン(Million)にてだった。ここでもタイロン・テイラー(Tyrone Tayler)やコートニー・メロディー(Courtney Melody)といったアーティストとの出会いがあり、人間的にもアーティストとしても大きな転換期となった。彼はミリオン時代に'Sweet Cassandra'でレコード・デビューも果たしている。
そして93年、後に数々のヒット曲を共に生み出す事となる、アンソニー・レッド・ローズ(Anthony Red Rose)と出会い、セカンド・シングル、'Rainbow Never Touched The Ground'をリリース。ここから一気にスターへの階段を駆け上がるかに見えた。しかし彼のキャリアは決して順風満帆だった訳では無い。94年から'Your Love Is My Love'を発表する99年までの5年間、彼は事実上の休業生活を送っていたのである。94年にジャマイカを襲った衝撃的な事件、友人であるガーネット・シルクの死はジャマイカ中を悲しみに包むと共に、彼の精神にも暗い影を落とした。この事件をきっかけに、彼はジャマイカという国の在り方や音楽ビジネスに失望し、音楽業界を離れることを決意する。彼のシンガーとしてのキャリアは潰えてしまったかに思われた。しかし一度ジャマイカを、そしてレゲエシーンを外の視点から見つめることで、彼は自分の歩むべき道を再確認し、音楽への情熱を少しずつ取り戻していった。多くの友人に励まされた事も大きな後押しとなった。
そして99年、アンソニー・レッド・ローズのプロデュースで'Your Love Is My Love'をリリース。爆発的なヒットを記録し、シーンへ劇的にカムバック。その後もアンソニー・レッド・ローズの元から'Storm Is Over Now'、'Couldn't Be A Girl For Me'、'You Save Me'、That's The Way It Is'、'Try It On My Own'、'Call On A Friend'等たて続けにヒットを連発し、素晴らしいパフォーマンスを見せている。
2019/10/11 掲載
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