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Maxi Priest（マキシ・プリースト）Text by Dub Store Sound Inc.

'Wild World'、'Close To You'等の世界的大ヒットで知られるシンガー。ダンスホール、ラヴァーズ・ロック、ルーツと様々な要素を織り込んだ彼の音楽は、世界中の幅広いリスナーに受け入れられた。

Maxi Priest

本名	Max Elliot
出生	1962年6月10日
出身地	イギリス　ロンドン　ルイスハム

マキシ・プリースト(Maxi Priest)ことマックス・エリオット(Max Elliot)は、1962年6月、9人兄弟の8番目としてイギリスのロンドンにて誕生した。イギリス、ジャマイカのみならずここ日本でも特に馴染みの深いレゲエ・シンガーであろう。デビューから現在まで、20年もの長きに渡りイギリスのレゲエ・シーンをトップとして牽引してきたその功績は、誰もが認める所である。1980年代後半から第一線で活躍を続ける彼は'King Of Lovers Rock'という異名を持つ。R & B、ソウルといった要素を旨く取り入れ、世界のポップ・シーンで大きな成功を収めた。マキシ・プリーストはあのアメリカのビルボード・チャートで1位を獲得した唯一のイギリス人レゲエ・シンガーであり、彼のキャリアを飾る大きな勲章となっている。

彼もまたイギリス、ジャマイカ両国の多くのアーティストがそうであるように、サウンド・システムでそのキャリアをスタートさせた。元々大工をしていた彼はサウンド・システムのスピーカー・ボックスの制作などもこなしていたようで、イギリスの名門、サクソン・サウンド・インターナショナル(Saxon Sound International)と仕事を通して関わりを持つようになった。そういった繋がりから自らもステージでマイクを握るようになっていったのである。サウンド・システムでヴォーカリストとしてのスキルを磨き、恵まれた歌声とそのルックスで瞬く間に頭角を現した彼は、当時のトップ・ランカーたちに一歩も引けを取らない素晴らしいパフォーマーへと成長していった。ジャマイカで聴かれるようなサウンド・システムで披露される革新的なリズムに乗せたシンガー達、シュガー・マイノット(Sugar Minott)やリトル・ジョン(Little John)、サミー・ドレッド(Sammy Dread)、デニス・ブラウン(Dennis Brown)といったアーティスト達を見本としながら、世界のポップ・シーンでも受け入れられる為のアプローチとして、R & Bやソウルといった要素も柔軟に取り入れていったのである。

レコード・デビューはイギリスのインディーズ・レーベル、レヴェル・ヴァイブス(Level Vibes)にてだった。'Sensi'、'Throw Me Corn'、'Should I'と3枚のシングルを発表後、ヴァージン(Virgin)傘下のテン(Ten)と契約。ここから彼のキャリアは一気に加速していったのである。

そして91年、そのテン(にて、80年代中期から活動を共にしたポール・ロビンソン(Paul Robinson)のプロデュースでデビュー・アルバム、「You're Safe」を制作。最大の魅力である艶やかで伸びのある素晴らしい歌声を示した、非常に完成度の高い作品に仕上がっている。ダンスホールやルーツ、ラヴァーズ・ロックといった様々な要素が高次元でミックスされ、クロス・オーヴァーでの成功への布石といえる作品だ。その後'Just A Little Longer'、'Close To You'といったシングルによって彼の名は世界中の人々が耳にすることとなった。'Just A Little Longer'は跳ねるようなアッパーなビートに乗せた小気味の良いヴォーカルが特徴の素晴らしい作品であるし、'Close To You'はあのアメリカのBillboard、90年10月付けのチャートでナンバー・ワンに輝いている。こちらはR & Bの要素が色濃く感じられるスウィートなラヴァーズ・ロックである。更にキャット・スティーブンス(Cat Stevens)のカバーである'Wild World'の大ヒットも彼の人気に拍車をかけた。原曲のイメージよりもポップに仕上がっているこの曲は世界で最も良く聴かれるレゲエ・ソングとして認知され、今尚高く評価されている。

彼の柔軟な音楽へのスタンスは、イギリスのポップ・ミュージック・ファンだけでなく、世界中の幅広いリスナーの心を掴み、クロス・オーヴァーな成功を手にした。ダンスホール、ルーツ、ラヴァーズ・ロック、R & Bそれぞれのエッセンスを見事に融合させた彼のスタイルは時にポップ過ぎるという意見も聞かれるが、レゲエという音楽のメイン・ストリームを長い間牽引してきたその功績は賞賛されて然るべきだろう。更に2000年以降、数々のジャマイカ人アーティストとの共演を始め、ジャマイカのレーベルから多数のヒット曲をリリースし、精力的な活動を見せている。

2008/03/03 掲載　（2013/11/27 更新）