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アーティスト特集

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Daddy Freddy（ダディー・フレディー）Text by Dub Store Sound Inc.

今日のUKダンスホール・シーンを切り開いた先駆者。ファスト・ラッピンと呼ばれる早口スタイルで多くのファンを魅了した。彼が発表した、ラガとヒップ・ホップの融合作品はイギリス、アメリカと各国で高い評価を得、ヒップ・ホップ・アーティストからも熱い支持を集める。

Daddy Freddy

本名	Frederic Nelson
出生	1965年9月3日
出身地	ジャマイカ　キングストン　トレンチタウン

今日のUKダンスホール・シーンの基盤を作った重要人物、ダディー・フレディー(Daddy Freddy)。"ファスト・ラッピン"と呼ばれる早口スタイルを武器にシーンに絶対的な存在感を示した。彼は第一級のライブ・パフォーマーとしても知られ、1989年には1分間に346個の音節というギネス記録を樹立。世界で一番早いラッパーとしての称号を手にした。その後1分間に507個の音節をラップする事で自身の記録を更新、ジェネラル・リーヴィ(General Levy)を始め、彼のスタイルを継承したアーティストが次々に登場した。ドクター・ドレ(Dr. Dre)やサイプレス・ヒル(Cypress Hill)といったヒップ・ホップ・アーティストも彼との共演を強く望んだという。またプロディジー(Prodigy)やメリッサ・モーガン(Melissa Morgan)、ソルト・アンド・ペッパー・アンド・ケーアールエス・ワン(Salt 'N' Peppa And KRS One)といったアーティストが彼のユニークな声をサンプリングした作品を発表している。

アーティストとしての彼を育てた要因は、幼少の頃からの恵まれた環境にあると言えよう。彼の育ったトレンチ・タウンの家は、あの名門スタジオ・ワン(Studio One)から歩いて数分の距離、更に隣人にはジェイコブ・ミラー(Jacob Miller)、ランキン・ジョー(Ranking Joe)が住んでいた。そういった環境を生かし、日常的に音楽と携わっていたダディー・フレディーはランキン・ジョーから基本的なパフォーマンス・スキルの指導を受け、ディージェイとしての活動をスタートさせている。

彼がシーンに注目されるきっかけとなったのがテイスティー(Tastee)タレント・コンテストへの出場がきっかけである。ここで彼は3連覇中のジェネラル・ツリーズ(General Trees)を押さえ、見事優勝を勝ち取った。ここでの優勝が転機となり、86年にユース・プロモーション(Youth Promotion)をスタートさせていたシュガー・マイノット(Sugar Minott)の元、テナー・ソウ(Tenor Saw)、ヤミ・ボロ(Yami Bolo)、カラー・マン(Colour Man)等と共にスキルを磨いていった。ユース・プロモーションが行ったUKツアーにも帯同し、現地でも大きなフォワードを得ている。

ユース・プロモーションでの精力的な活動がスーパー・キャット(Super Cat)の目に留まり、名門キラマンジャロ(Killamanjaro)への出演も果たした。ここではブリガディア・ジェリー(Brigadier Jerry)、ジョジー・ウェールズ(Josey Wales)、イエローマン(Yellowman)、アーリーB(Early B)等と凌ぎを削り、平行して行っていたステレオ・マーズ(Stereo Mars)では、ニコデマス(Nicodemus)、マイケル・プロフェット(Michael Prophet)、ジュニア・リード(Junior Reid)、ブロ・バントン(Burro Banton)等とダンスホールを盛り上げていった。レコードの方では1986年に録音した、ピンチャーズ(Pinchers)とのコンビネーション、'Joker Lover'、ハリーJ(Harry J)の"Sleng Teng"に乗せた'Body Lasher'が相次いで1位を獲得し、更にデビュー・アルバム、「Body Lasher」の収録曲の内、6曲がトップ・テン入りするという快挙も成し遂げている。

こうした活動を経た1988年、イギリスへと渡り、サー・コクソン(Sir Coxsone)へと参加。テナー・フライ(Tenor Fly)等と活動を共にする。デヴィッド・ロディガン(David Rodigan)を通じて知り合ったサイモン・ハリス(Simon Harris)の元、一連の作品を制作、ジャマイカ系イギリス人のラッパー、アッシャーD(Asher D)とのコンビネーション、'Raggamufin Hip Hop'や'We Are The Champion'はラガとヒップ・ホップの新たなトレンドを生み出した。

こうした活動はジャマイカ、UKダンスホールのシーンに大きな功績を残し、今尚多くの尊敬を集めている。

2008/08/29 掲載　（2013/11/28 更新）