Mr. Vegas(Mr. ベガス)Text by Dub Store Sound Inc.
シンガー、シングジェイと様々なスタイルを駆使し、扱う歌詞も幅広い。90年代から第一線で活躍を続け、トップ・アーティストとしての地位を確立している。
Mr. Vegas
本名 |
Clifford Smith |
出生 |
1974年12月29日 |
出身地 |
ジャマイカ キングストン |
現在のダンスホール・シーンで重要なヒット・メイカーとして君臨するMr.ベガス(Mr Vegas)。シンガー、シングジェイと様々なスタイルを駆使し、幅広いテーマを扱える彼は90年代からシーンのトップで活躍を続けている。
若くして音楽業界でのキャリアをスタートさせたMr.ベガスにとって、ジェレミー・ハーディング(Jeremy Harding)が手掛けた"Playground"リズムが全ての始まりとなった。1997年、このリズムでリリースした'Nike Air (Hands In The Air)'が大ヒットを記録、この時彼は顎に重度の怪我を負っており、深刻な状態の怪我をおしてこの楽曲を録音した彼は、独特の歌声でこの曲を歌い一躍注目の存在となった。
翌1998年は彼にとって更なる飛躍の年となる。この年にリリースされた'Heads High'が凄まじい勢いでシーンを席巻、ダンスホールで嵐を巻き起こした。この作品は彼のキャリアの中でも最高の売り上げ枚数を記録し、MTVでは楽曲が放送され、ビルボード・チャートにもランク・インするという快挙を成し遂げた。イギリスのグリーンスリーブス(Greensleeves)からリリースされた同名のアルバムも世界的に認知されることとなり、シングル、アルバムを含めこの作品はダンスホールを次のレベルへと導くことに成功した。
これによってファン層を大きく拡大した彼は、トニー・ケリー(Tony Kelly)が手掛けた"Bookshelf"リズムでの'Jack It Up'やスタジオ2000(Studio 2000)の'Latest News'といったヒットを輩出、ハイ・プロフィール(Hi Profile)の'Jacket'、コリン・ファット(Colin Fat)の'Sweet Pineapple'、ポット・オブ・ゴールド(Pot Of Gold)の'Everywhere I Go'はいずれもチャートのトップを記録している。これにより1998年を代表するアーティストとなった彼はイギリスの"Music Of Black Origin Award"において最優秀レゲエ・アーティストに選ばれる名誉を獲得している。これらの活躍によって彼の名前は瞬く間にカリブからアメリカ、イギリスへと広がっていった。
1999年にはスタジオ2000からショーン・ポール(Sean Paul)とのコラボ、'Hot Gal Today'を発表。この楽曲は"Vibes Magazine"にて投票を獲得、ベストコラボ楽曲に輝いている。
2001年にはセカンド・アルバム、「Damn Right」を発表、このアルバムではR&Bやヒップ・ホップを意識したサウンドで話題を呼び、収録曲である、'She's A Ho'はモンスター・ヒットとなった。
2004年にはロスを拠点とするデリシャス・ビニール(Delicious Vinyl)からサード・アルバム、「Pull Up」をリリース。タイトル・トラックである'Pull Up'はコーデル・スキャタ・バレル(Fordel Scatta Barrell)による'Coolie Dance'リズムを使用し、TOK、ショーン・ポール、エレファント・マン(Elephant Man)等と一連で大ヒット。'Pull Up'はビルボード・ヒットとなった。レコードのリリース以外にも、"Sting"、"Red Stripe"、"Reggae Sumfest"、"Fully Loaded"、"Reggae Sunsplash"といったビッグ・フェスティバルにも多数出演しパフォーマンスを行った。ヨーロッパや日本でも公演を行うといった活動を見せ、押しも押されぬダンスホールのトップ・アーティストとしての地位は不動の物となった。
彼の活躍はとどまることを知らず、2005年にリリースされた'Do You Know'はここ日本でも大ヒット。この曲は爽やかなミディアム・トラックに乗せた美しいメロディーが特徴のラヴァーズ・チューンで、ダンスホールの聴衆を虜にした。2006年の'Hot Wuk'は各国のレゲエ・チャートを独占、ビルボードのホットR&B/ヒップ・ホップ・シングル・チャートにもランクインを果たす。レーベル、タクシー(Taxi)からの'Lean With It'ではファウンデーション、"Darker Shade Of Black"に乗って独特のアウト・オブ・キーを聴かせている。2007年の'Tek Way U Self'では新しいダンスを歌い、こちらも一大ブームを巻き起こしている。これらの作品に共通していることは、どんなスタイルでどんなテーマを扱っても彼が一流のパフォーマーであるということだ。これらのシングルを収録したアルバム、「Hot It Up」も好調なセールスを記録している。
2008年以降も順調に作品がリリースされ、度々流れる引退の噂も吹き飛ばすかの様な活躍を見せている。
2018/11/07 掲載