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Bitty Mclean（ビティ・マクリーン）Text by Dub Store Sound Inc.

ダンスホールのラガ・スタイルとは一線を画した、スムースで伝統的なヴォーカル・スタイルを打ち出すシンガー。UKのレゲエ・シーンで90年代中期から活動を続ける実力派である。

Bitty Mclean

出生	1972年8月8日
出身地	イギリス　バーミンガム
関連アーティスト	Sly & Robbie

UKレゲエ・シーンの貴公子ことビティ・マクリーン(Bitty Mclean)。2006年のロックステディ・リバイバル、'On Bond Street'でここ日本のレゲエ・ファンにも大きくその存在をアピールした正統派シンガーである。現在のダンスホールにおける所謂ラガ・スタイルとは一線を画し、スムースで伝統的なヴォーカル・スタイルで人気を獲得している。

父親が運営していたサウンド・システムの影響もあり、音楽に深く親しんで育ったビティ・マクリーン。6人兄弟の末っ子としてイギリスのバーミンガムで生まれ、幼少期から兄達と共に音楽に囲まれて育った。ダンスホールのラバ・ダブ・スタイルを参考に、レコードのヴァージョンに乗せて歌い、10代後半には地元のサウンド・システムに出向きマイクを握る様になる。

地元の大学へと進学したビティ・マクリーンはサウンド・エンジニアリングを専攻、世界的に有名なイギリスのレゲエ・バンド、UB40のDEPインターナショナル・スタジオ(DEP International Studio)でエンジニア、プロデューサーとしての仕事を手にする。時を同じくして本格的にシンガーとしても活動を始め、UB40の大ヒット・アルバム、'Promises And Lies'にプロデュース、コーラスで参加、この素晴らしいアルバムのヒットに貢献すると共に疑う余地の無い美しい歌声を披露している。

ソロ・シンガーとしてのキャリアも輝かしい物で、1993年にはファッツ・ドミノ(Fats Domino)の'It Keeps Rainin''、1994年にはニュージャージーのR & B ガールズ・カルテット、シャイルズ(Shirelles)のカバー'Dedicated To The One I Love'をそれぞれ発表し、どちらもUKチャートでトップ・テン・ヒットとなった。更に1993年の'Pass It On'、94年の'Here I Stand'、'What Goes Around'、95年の'Over The River'、'We've Only Just Begun'、'Nothing Can Change This Love'、96年の'Natural High'、'She's Alright'といったシングルを発表し、アメリカのヴァージン(Virgin)から'Just To Let You Know'、イギリスでは'Natural High'という2枚のアルバムを発表した。これらの功績が認められ、UB40やWet Wet Wet、Simply Redといったアーティストとツアー公演も果たしている。

90年代後半からは裏方の仕事、スタジオ・ワークやプロデュースといった活動に比重を置く様になりレコードのリリースは止まってしまったが、2003年にはアルバム、'Soul To Soul'を、そして2004年には大ヒットとなった'On Bond Street'を発表。再び世界のレゲエ・シーンから注目を集めることとなった。トレジャー・アイル(Treasure Isle)の往年のリズムを使用したこのロックステディ・リバイバル・アルバムは、トレジャー・アイルサウンドの中核を担ったトミー・マクック(Tommy McCook)・アンド・スーパーソニックス(Supersonics)の演奏をそのまま生かし録られた物である。スタジオが位置したボンド・ストリートをタイトルに掲げていることでもデューク・リード(Duke Reid)への敬意、レゲエを築き上げた先人たちへの感謝を感じ取ることが出来る。

こうした活動は現在のラガを受け付けない聴衆を惹き付け、ペッキングス(Peckings)からの'Never Let Me Go'、'I'm In Love With A Girl'、'Brother Man、'This Train'、スライ・アンド・ロビー(Sly & Robbie)と組んだ'The Real Thing'、'Let Them Talk'といったシングルはことごとくヒットを記録した。そして2009年には待望のアルバム、「Movin' On」がビクター(Victor)からリリース、'Got To Let Go'、'One Of A Kind'がシングル・カットされ好セールスを記録、今後も更なる活躍が期待される。

2019/11/29 掲載