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Junior Byles（ジュニア・バイルズ）Text by Jeremy Collingwood

楽曲'Beat Down Babylon'でラスタの音楽をメインストリームに持ちんだこと、そしてルーツ・シーンにおけるミリタントで信心深い楽曲の強烈なパフォーマーであることはジャマイカで有名である。ジュニア・バイルスの成功は音楽的才能の欠陥ではなく、人間としてのもろさによって制限されてしまった。

Junior Byles

本名	Kerrie Byles
出生	1948年7月17日
出身地	ジャマイカ　キングストン
関連アーティスト	Versatiles Lee Perry Bob Marley

1948年、ジュニア・バイルス(本名Kerrie Byles)は宗教信仰の深い家庭に生まれた。1967年、ヴァーサタイルズ(The Versatiles)を結成し音楽キャリアを開始する。彼らは1968年、ミセス・ドロシー・バーネット(Dorothy Barnett)のデルトーン(Deltone)で6曲ほど、同様に1968年から1969年にかけてジョー・ギブス(Joel Gibson)のレーベル、アマルガメイティッド(Amalgamated)で6曲を制作、そうして彼らはジョー・ギブスに雇われていたリー・ペリー(Lee Perry)に出会うことになった。

1970年、彼はリー・ペリーの導きでソロ活動を開始。翌年、ハーモニーにボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ(Bob Marley & The Wailers)をフィーチャーし、競馬を歌った'Get the Tip'を発表するも彼がブレイクを果たしたのはその1971年の「ジャマイカン・フェスティバル・ソング・コンテスト」で'Da Da'を歌い優勝したことからだった。翌年には'Beat Down Babylon'がジャマイカで大ヒット、1万枚を売上げ、チャートにラスタの感情を浸透させた。その後数年間で、ジュニア・バイルスの感情的な声は彼をルーツ・レゲエにおける初期シンガーとしての地位を確立、'A Place Called Africa'は彼らの祖先が母なる大地アフリカから連れて来られたことを言及するもので、人々の関心がジャマイカで成長するアフリカ帰還運動に向いていることをとらえたものだった。

深い精神的な信仰、そして攻撃的な表面を持ったジュニア・バイルス(Junior Byles)の声は自身の敏感さと傷つきやすさとの間につながりを持っていた。リー・ペリーが制作した 'Auntie Lulu '、'The Long Way 'や'Rasta No Pick Pocket 'に続いて自身のレーベル、ラブパワー(Love Power)から 'Black Crisis'を発表。イギリスでアルバム「Beat Down Babylon」がトロージャン(Trojan)から発売され、シングルがジャマイカ人コミュニティーとターゲットにしたレーベル、パーマ(Pama)などからリリースされた。

彼にとって最後のヒットとなったのが1974年の'Curly Locks'で、リー・ペリーはアイランド(Island)とアルバム契約を交わそうと試みたが、アイランドの代表クリス・ブラックウェル(Chris Blackwell)との会合は上手く行かず、彼の壊れやすい精神を悪化させただけだった。1976年にはハイレ・セラシエ一世が死去したことを機に自殺未遂を図り、ベルビュー精神病院に収容された。精神の問題は今日までジュニア・バイルスを苦しめてきた。

彼は他にもジョ・ジョ・フーキム(Joseph Hookim*'Fade Away'はサウンドシステムで聞かれるヒットになった)、ロイド・キャンベル(Lloyd Campbell*'Weeping'や'Can you Feel It')、ダドリー'ジャマン'スワビー(Dudley 'Jaman' Swaby*'Pichty Patchy')などのプロデューサーと活動を行ったがブラック・アーク(Black Ark)時代にリー・ペリーと味わった成功を再び味わうことはなかった。

その後もシングルを発表し1986年にはアルバム「Rasta No Pickpocket」をリリース。80年代も終焉に差し掛かると、ストリート大きなごみ箱から食べ物を探す生活は彼の衰退の深さを物語った。ルーツ・レゲエの先駆者はこのジャンルにおいて傑作を残し、わずかながら眩しく輝いた。

2004年、彼はイギリス・ツアーを行うも体調は優れていなかった。

2011/03/09 掲載　（2014/01/30 更新）