Frankie Paul（フランキー・ポール）Text by Dub Store Sound Inc.
生まれた時から盲目に近い状態だったフランキー・ポールは「ジャマイカのスティービー・ワンダー」と形容されている。そんな生来のハンデを負った彼は80年代のダンスホールシーンを語る上で外すことの出来ない重要人物である。
Frankie Paul
| 本名 | Paul Blake |
| 出生 | 1965年 |
| 出身地 | ジャマイカ キングストン |
| 関連アーティスト |
スティービー・ワンダーと比較される通り、音楽の道を志すきっかけとなったのも彼との出会いからであった。幼少の頃に通っていた障害児用の学校を訪問したスティービー・ワンダーの前で歌を披露したポール少年は、スティービーに絶賛されたことをきっかけに歌手を目指すようになる。
チャンネル・ワン(Channel One)で録音され、ハイ・タイムス(High Times)からリリースされた'African Princess'でレコード・デビューを果たすと、その後同スタジオでは代表曲の1つである'Worries In The Dance'を始めとする初期のヒット曲を多数録音する。張り詰めた緊張感に溢れた力強いリズムに乗ったこの'Worries In The Dance'はこの時代のチャンネル・ワンの典型的な作品と言える。
これにより高まりつつあった彼への評価を決定付けたのが80年代中期に活動の拠点としていたヴォルケーノ(Volcano)、パワー・ハウス(Power House)からの作品群である。ヴォルケーノからはルーツ・ラディックス(Roots Radics)をバックに自身のヒット曲、'Worries In The Dance'を再演したテイクや、'Pass The Tu Sheng Peng'、'Them A Talk About'といった楽曲を、パワー・ハウス(Power House)からはスライ&ロビー(Sly & Robbie)の活き活きとした高揚感溢れるリズムに乗せて、'Alesha'、'Tidal Wave'といった楽曲をそれぞれ残した。これらは彼の膨大な数のレコードのほんの一握りに過ぎないが、正真正銘のダンスホール・スターの登場をシーンに示したレコードである。
彼は音楽の学校、スタジオ・ワン(Studio One)にも録音を残している。アルバム、「At Studio One」を含む数枚のシングル、特にオーティス・ゲイル(Otis Gayle)の'I'll Be Around'と同リズムの作品、'Caroline'では驚くほどに完成されたソウル・スタイルを聴かせている。
その後も彼は、ジャミーズ(Jammys)、ブラック・スコーピオ(Black Scorpio)、テクニクス(Techniques)、スケンドン(Skengdon)、ファッション(Fashion)、スティーリー&クリーヴィー(Steely & Clevie)等多数のレーベルからヒット曲を発表し続けた。'I Want TO Rock'、'Sarah'、'I Know The Score'、'Buck Wild'、'I Need A Love'と挙げて行けばきりが無く、到底ここだけでは紹介しきることは出来ない。
デジタル期以降の特徴として、デニス・ブラウン(Dennis Brown)やスティービー・ワンダーの影響が顕著に現れていた初期のスタイルを一新させ、パワフルな独自のスタイルを作り出したことや、どんなプロデューサーの下でも歌いこなせる器用さを兼ね備えていたことが成功の要因といえる。彼の溢れんばかりの才能は、ディジタル・トラックを前にしても十二分に発揮された。90年代初期に一時録音数は減ったものの、現在でもそのパワフルな歌声は健在で、ジャマイカのみならず世界中でショーを行っている。現在は南アフリカ在住。
2007/04/25 掲載 （2013/11/15 更新）
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