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Melodians（メロディアンズ）Text by Harry Hawks

ロック・ステディ期が到来した60年代半ばに全盛期を迎えた、多くの素晴らしいヴォーカル・グループ中でも最も記憶に残るグループの1つ...

Melodians

メンバー	Tony Brevett Brent Dowe Trevor McNaughton
活動期間	1963年～
結成地	ジャマイカ　キングストン　グリニッチ・ファーム

"私たちはバビロンの川のほとりに座り、ザイオンを思い出して涙を流した。私たちはその中の柳に私たちのハープをかけた。私たちを虜にした者が私たちに歌を求めたからだ。私たちを苦しめた者が笑いさざめき、「我らにザイオンの歌を1つ歌え」と言った。私たちは外国にあり、どうやって主君の歌を歌えようか"旧約聖書第137章1から4節

ジャマイカの伝統的なハーモニー・グループといえば3人編成が基本だが、2人の、同等に力強いリード・シンガー、トニー・ブリヴェット(Tony Brevett)とブレント・ダウ(Brent Dowe)を擁したメロディアンズ(Melodians)は風変わりだった。トレヴァー・マクノートン(Trevor McNaughton)がハーモニーを歌い、歌わずに作曲に徹したレンフォード・コグル(Renford Cogle)はこのグループに更なる力強さを加えた。悲しく、予想だにしなかった、昨年末のトニー・ブリヴェットの死は、彼らの花形のキャリアを簡潔にまとめたこの概要を書くことを駆り立てた。

彼らが生まれ育ち、音楽に没頭した若者たちが多くいたキングストンのグリーンウィッチ・ファーム地区でこのグループは1963年に結成、メロディアンズはなんとアルヴァ'レジー'ルイス(Alva 'Reggie' Lewis)の初めて購入したギターのチューニングもやったのだ!スカタライツ(Skatalites)でプレイしていた一流のベーシストだったトニーの叔父、ロイド・ブリヴェット(Lloyd Brevett)はこの若者たちをスタジオ・ワン(Studio One)でコクソン・ドッド(CS Dodd)に紹介し、彼らは1966年に'Throw Down Your Weapon'、'Meet Me'、'I Should Have Made It Up'、'Lay It On'を録音した。これらのレコードは程よく成功を収めたが、ドッド氏の最大のライヴァル、トレジャー・アイル(Treasure Isle)のデューク・リード(Duke Reid)の元へ移った時からヒットは生まれ始めた。トミー・マクック&ヒズ・スーパーソニックス(Tommy McCook & His Supersonics)がボンド・ストリートで生み出す完璧なまでの演奏に支えらた、クールで果てしなく洗練された音楽が...。トレジャー・アイルに彼らが残したヒット曲には'Last Train To Expo '67'、ヴォーカルを変えた'Last Train To Ecstasy'、'You Have Caught Me'またの名を'You've Caught Me Baby'、'Come One Little Girl'、'You Don't Need Me'などがある。

1967年の終わりに差し掛かったとき、メロディアンズはソニア・ポッティンジャー(Sonia Pottinger)のレーベル、ハイ・ノート(High Note)へと移り、リン・テイト&ザ・ジェッツ(Lynn Taitt & The Jetts)の実に見事な演奏に支えられ'Heartache'、'Little Nut Tree'、'Swing And Dine'など、ヒット曲は止まらなかった。その翌年、独立と自由に影響を受けたメロディアンズは、ケン・ブース(Ken Boothe)、ゲイラッズ(Gaylads)、デルロイ・ウィルソン(Delroy Wilson)らのアーティストたちに加わり、レーベル、リンクス(Links)を立ち上げた。ゲイラッズの'Looking For A Girl'、ケン・ブースの'Can't You See'、後に僅かに手を加え、レーベルのソウル・ビート(Soul Beat)から'It Come And Goes'としてリリースされ、再び注目されたメロディアンズの美しい'Royal Cord'など実に見事なリリースがこのレーベルから行われた。

ロック・ステディが早いレゲエのビートに生まれ変わった時、メロディアンズはイギリスの国内チャートを賑わせていたデスモンド・デッカー(Desmond Dekker)、メイタルズ(Maytals)、パイオニアーズ(Pioneers)と共に国際的な成功を味わっていたレスリー・コング(Leslie Kong)の元への移動した。メロディアンズの疼く様な'Sweet Sensation'はRJRとJBCで初登場第1位になったものの、辛くもイギリス国内チャートの上位に届くために重要なクロスオーヴァーを逃してしまった。トロージャン(label|Trojan|||)からリリースされたイギリス盤はアンダーグラウンドで大きな成功を収めた後、1970年1月に第41位に到達した。

メロディアンズが旧約聖書第137章の最初の4節と、第19章の最後の節をその歌詞に用いた'River's Of Babylon'はその年の暮れのレゲエ市場で大きなヒット曲となった。この楽曲は"あからさまにラスタファリアンのことを言及している"ためジャマイカで禁止されたが、レスリー・コングはそれに「大昔からジャマイカにいるキリスト教信者によって歌われている」と応戦し、禁止は取り消し、このレコードは大ヒットになった。この楽曲は世界中のオーディエンスにレゲエを紹介することに一役買った1972年の映画「The Harder They Come」のサウンドトラックにフィーチャーされた。'River's Of Babylon'は後にフランク・ファリアン(Frank Farian)がボニーM(Bonnie M)のために使用し、1978年に世界的大ヒットを飛ばした。彼らのディスコ・ヴァージョンはプラチナ・ディスクになり、イギリスにおいて最も売れたシングルのトップ10入りを果たした。

70年代を通して、ブレント・ダウはソロ・アーティストとしてミセス・ポッティンジャーと共に活動し、リー'スクラッチ'ペリー(Lee Perry)との活動をはじめる前、自身の最もヒットした楽曲を1つである'Build Me Up'を手にした。アップセッター(Upsetter)からのリリースされたブレントの悲しげな'Down Here In Babylon'はトゥエルブ・トライブス・オブ・イスラエル(Twelve Tribes Of Israel)のアンセムになり、現在も定期的にトゥエルブ・トライブスのダンスでプレイされている。レーベルのリンクスのために録音され、しばしばヴァージョン化される'Don't Get Weary'も名曲として考えられている。メロディアンズはグループとしてリー'スクラッチ'ペリー、ハリー'ハリーJ'ジョンソン(Harry Johnson)、らを含む何人ものプロデューサーたちと散発的にレコーディングをし、80年代初期にはニューヨークを拠点とするトップス・レコーズ(Tops Records)のために知られてはいないが、実に美しい'Submission'を含む多くの上質なレコードをリリースした。

90年代と新世紀に突入するとき、メロディアンズはロンドンのHammersmith Palaisで行われたアルトン・エリス(Alton Ellis)のEaster Sunday Rock Steady Galaを含む、数え切れないコンサートで世界中を回り、カリフォルニアで行われたSierra Nevada World Music Festivalで行った、洗練されたプロフェッショナルなパフォーマンスは長年のファンたちだけに人気があるというだけでなく、新しい、また若いファンたち多くいるということを証明した。2006年1月29日、59歳だったブレント・ダウはジャマイカで致命的な心臓発作に襲われ、トニー・ブリヴェットは癌により、2013年10月26日、アメリカのマイアミ州で死去した。

ジャマイカから生まれる音楽の才能の深さは全く驚きであり、ゲイラッズ、パラゴンズ(Paragons)、テクニークスを含むほか多くのヴォーカル・グループもまた制作の全盛期を迎えていた頃に、メロディアンズもまたその力を振るっていた。メロディアンズは彼ら自身の永続的なオリジナル作品だけでなく、絶え間なくヴァージョン化されアップデートされる彼らの楽曲とリズムを通して、永久不変の財産を完璧に作り上げた。ダブ・ストア一同はブレント・ダウとトニー・ブリヴェットの家族と友人たちに遅ればせながら、心から哀悼の言葉を捧げる。

"私たちの岩、私たちの救世主よ、どうか、私の口の言葉と、秘めた思いが、神様に喜ばれますように" 旧約聖書第19章14節

2014/08/08 掲載　（2014/08/08 更新）