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Jah Cure（ジャー・キュア）Text by Harry Hawks

90年代の"ラスタ・ルネッサンス"の信奉者の1人である彼の8年間の投獄生活は道徳的で現実味溢れる音楽を作り続ける決意をより強いものにした...

Jah Cure

本名	Siccaturie Alcock
出生	1978年10月11日
出身地	ジャマイカ　西キングストン　ハノヴァー
関連アーティスト	Anthony B Beres Hammond Capleton Jah Mason Sizzla

ジャマイカの西側に位置するハノヴァー教区で1978年10月11日に生まれたSiccaturie Alcockは移り住んだキングストンで、「若くて、健康的」という見た目からディージェイのケイプルトン(Capleton)によりジャー・キュア(Jah Cure)という名前を授かった。彼は憧れのバーニング・スピア(Burning Spear)、ブラック・ユフル(Black Uhuru)、ボブ・マーリー(Bob Marley)、ピーター・トッシュ(Peter Tosh)、ガーネット・シルク(Garnett Silk)、マーシャ・グリフィス(Marcia Griffiths)のように成功するための努力を惜しむことはなかった。ジャー・キュアにとって単に音楽を作ることでは足らず、メッセージのある音楽、何かの意味を成す音楽を作り、ラスタファリアン信仰のイデオロギーが彼の作品に溢れているのが見て取ることが出来る。90年代、レゲエは"ラスタ・ルネッサンス"が起こり、リリックの価値や70年代のルーツ・ミュージックの理念にはデジタル化されたリズムが付随し、ジャー・キュアはトラディショナルとモダンが一体となったこのジャンルを代表する1人となった。

初めての大ヒットが訪れたのは1997年頭、ベレス・ハモンド(Beres Hammond)のレーベル、ハーモニー・ハウス(Harmony House)からリリースしたシズラ(Sizzla)とのコンビネーション、'King In This Jungle'だった。ベレス・ハモンドはこの若者の良き指導者的存在になり、'Zion Way'、'Zion Await'、'Hanging Slowly'を含む一連のヒット・シングルが彼のハーモニー・ハウスから生まれていった。1998年、ハーモニー・ハウス・ファミリーと共にカリブ海、ヨーロッパを回ったツアーでジャー・キュアは大絶賛だった。

その年の11月、彼はモンテゴ・ベイで逮捕され、4つの罪に問われた。彼は翌年Gun Courtで告訴された全ての罪を熱心に否定したが有罪判決を言い渡されてしまった。St Catherine Adult Correctional Centreで15年間の投獄を言い渡された彼は、Tower Street Adult Correctional Centreに移送されても一貫して無実を訴えてきた。文字通り "Correctional(更生)"を取り入れた進歩的なTower Streetは囚人たちにデジタル・レコーディング・スタジオを提供していた。ジャー・キュアは2000年にデビュー・アルバム「Free Jah's Cure The Album The Truth」をリリース、その後2003年にはベレス・ハモンドのプロデュースで「Ghetto Life」を、そして2005年には'King In The Jungle'を収録した「Freedom Blues」をリリースした。シングルもまた何枚かリリースし、'Jamaica'と'Longing For'は両方ともジャマイカのチャートで1位を獲得した...その全ては彼の監獄から行われたことだった。

彼はメッセージを送り続け、極めて異常な状況下にも関わらず、もしくはそれが理由なのかも知れないが、彼の決意は固く、また名声は高く、ジャー・キュアの音楽のリリースだけでなく、ジャマイカ国内外ジャー・キュア本人の釈放を支援する連合的なキャンペーンが起こった。8年間の刑期を過ごした彼は2007年7月28日、執行猶予付きで釈放された。彼の4枚目のLP、「True Reflections...A New Beginning」はその3日後にリリースされ、8月、ジャー・キュアは2007年のReggae Sumfestのヘッドライナーを務めた。

「体験した困難が今の俺を作っている。だから俺は感情を込めて歌うんだ...これは心の叫びなんだ。俺は痛みを感じることが出来るからな。経験したものには分かるんだ」ジャー・キュア

「獄中生活は自身にユーモアと周りの人間たちへの愛し方を教えるためのジャーのやり方」だと彼は信じ、メッセージを伝えるために、彼はソロのパフォーマーとして様々なインデペンデント・プロデューサーたちの元でレコーディングを続け、'Unconditional Love'はナンバー・ワンを獲得、ジュニア・リード(Junior Reid)やマバド(Mavado)などトップ・レベルのアーティストたちとも共演を果たしている。更に「Universal Cure」と「World Cry」の2枚のアルバムは彼のスタンスを強固なものにし、自身のレーベル、アイヤ・キュア・プロダクションズ(Iyah Cure Productions)設立後、シングル'That Girl'と'Life We Live'をまたもやヒットさせた。リリースが迫るアルバム、「The Cure」と2015年2月に合同の世界ツアーを予定しているジャー・キュアは「人生を通して達成する目標、音楽を通して愛を広め、平和と癒しを与える」ことを体現し、共感を呼び続けている。

2019/10/04 掲載