Island（アイランド）Text by Dub Store Sound Inc.
1959年にクリス・ブラックウェルによって設立されたレーベル。ボブ・マーリーを世界に売り出したイギリスのレーベルで現在はユニバーサルの傘下となっている。
Island
| 設立地 | イギリス ロンドン |
| 設立者 | Chris Blackwell |
| プロデューサー | |
| エンジニア | Carlton Lee Karl Pitterson Phil Brown Stu Barrett Tony Pｌatt |
| 関連アーティスト | |
| 関連レーベル |
設立者のクリス・ブラックウェルは1937年の6月22日、アイルランド系の父とコスタリカ出身の母の間にロンドンで生まれた。生後6ヶ月で家族と共にジャマイカへと移住、テラ・ノヴァに住居を構えるがわずか3年後にはイギリスへと戻りHarrow Schoolへと通う様になる。
1950年代中期、大学受験に失敗した彼は再びジャマイカへと渡るが、そこで何をするべきかはまだ模索中の状態であった。そんな中クリスは1958年の夏にヘルシャ・ビーチ近くで珊瑚に座礁する事故に遭ってしまう。そこで脱水熱中症に陥っていた彼は小さなラスタ・コミュニティーのメンバーに助けられた。そこでラスタの音楽と哲学、文化に触れたクリスはラスタの文化をヨーロッパに伝えようと決心する。
翌年にレーベル、アイランドを設立すると、クリスはここで初期のジャマイカンR & Bを録音した。中でもローレル・エイトキン(Laurel Aitken)の'Little Shella'、'Boogie In My Bones'はナンバー・ワン・ヒットとなった。
また60年代前期には母の愛人だったイアン・フレミング(Ian Fleming)(ジェームス・ボンド・シリーズの著者)の紹介により映画産業にも携わり、ジェームス・ボンド・シリーズ「Dr. No」ではロケーションを担当した。その後も映画のオファーを受けるがクリスはこれを全て断り、音楽に専念。「Dr. No」で手にした資金を元手に拠点をイギリスへと移した。イギリスへの移転当初はMINI Cooperのトランクを利用してレコードを売っていたと言う。
クリスは協力者であるレスリー・コング(Leslie Kong)、グレアム・グッダル(Graeme Goodall)と共に流通経路を開拓し、イギリスではビヴァリーズ(Beverleys)、コクソン・ドッド(CS Dodd)のスタジオ・ワン(Studio One)、キング・エドワーズ(King Edwards)等の作品をライセンスし発表した。更に系列レーベルのジャンプ・アップ(Jump Up)、ブラック・スワン(Black Swan)、スー(Sue)といったレーベルからも次々と作品を発表していった。アイランド(Island)の発展に大きな役割を果たしたグレアム・グッダルはオーストラリアの出身で、後に'RJR'となるラジオ局での活動やドクター・バード(Doctor Bird)、フェデラル(Federal)といったレーベルを手掛けたエンジニアでもある。
そして1964年、当時14歳だったミリー・スモール(Millie Small)の'My Boy Lolipop'で大ブレイク。世界的な大ヒットとなり、600万枚の売り上げを記録した。
更に1972年にはジミー・クリフ(Jimmy Cliff)主演の映画、「The Harder They Come」を発表。映画、及びサウンド・トラックはレゲエ史を代表する作品となった。
1970年代中期のアイランドは自身でプレス工場を持ち、レコードを生産していたが、制作された音源の質に問題が多かった。そこでアイランドは1972年からEMIとレコードの製作、及び流通の契約を結び改善を図る。しかしレコードの制作費が高騰した為に1977年に契約を終了させ、再度自社工場で生産を行う事になった (1987年からは再びEMIが制作、流通を請け負った) 。
その後国際的な流通契約をカナダのRCAと結び、ボブ・マーリーの「Exodus」がゴールド・アルバムに輝く。これによりアイランドはレーベルとしての最盛期を迎えた。
しかし1980年頃からボブ・マーリーの体を蝕む癌が悪化。ボブの体調悪化を危惧したアイランドはロック・バンドのU2と契約を交わし再起を図る。ボブ・マーリーを超える程の大きな成功には至らなかったものの、U2の存在によってレーベルは生き続けた。
そして1981年にはボブ・マーリーが逝去。これによりレーベルの看板を失ったアイランドの活動は次第に低迷していく。
1989年の6月、クリス・ブラックウェルはアイランドをポリグラム(PolyGram)へと売却し、メイン・ストリームへと転向。これにより世界最大のインディ・レーベルとしての歴史に幕が下ろされた。クリスはポリグラム(PolyGram)でも"Island Entertainment Division"のCEOとして活動し、アイランドのバック・カタログをCDで再発する等の活動を行った。1998年にはポリグラム (PolyGram) がユニヴァーサル・ミュージック・グループ (Universal Music Group)と合併したことにより、ユニヴァーサル・ミュージック・グループの傘下のレーベルとなった。
一方創始者のクリス・ブラックウェルは1991年、日本のアニメをリリースする"Manga Entertainment Ltd"を設立。初のリリース作品は大友克洋の「AKIRA」だった。しかし1994年にはその流通ライセンスを他社に売却している。
クリスは現在、アイランド事業の一環であるジャマイカとバハマの(イアン・フレミングの滞在していた場所)リゾート運営に携わっている。
2009/08/25 掲載 （2016/02/09 更新）
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