Joe Frasier(ジョー・フレイザー)Text by Dub Store Sound Inc.
良質なリメイク・リズムを使用したラバーズロックが定評の人気レーベル。プロデューサーのロイド・キャンベル(Lloyd Campbell)は70年代から活躍するプロデューサーである。
Joe Frasier
設立地 |
アメリカ合衆国 フロリダ |
設立者 |
Lloyd Campbell |
プロデューサー |
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エンジニア |
Jason Sterling |
関連アーティスト |
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関連レーベル |
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キングストンはジュビリー・ホスピタル出身のプロデューサー、ロイド・キャンベル(Lloyd Campbell)によって運営されるレーベル。昔からの典型的ラバ・ダブ・リズムを繊細に作りこみ、クリアでメロディアスなサウンドへと生まれ変わらせる彼の手腕はここ日本でも高く評価されている。ロイド・キャンベル(Lloyd Campbell)の業界でのキャリアは長く、70年代にはスパイダー・マン(Spider Man)やシング(Thing)といったレーベルを運営し、上質な作品を手掛けている。この時代に手掛けた作品で特筆すべきは、映画'Rockers'でお馴染みのグレゴリー・アイザックス(Gregory Isaacs)の'Slave Master'とロニー・デイヴィス(Ronnie Davis)が在籍したグループ、アイタルズ(Itals)の'Ina Disa Time'であろう。これらの作品は大きなヒットを記録し、ロイド・キャンベル(Lloyd Campbell)はジャマイカ音楽史にその名をしっかりと刻み付けたのである。
その後、ジョー・フレイザー(Joe Frasier)設立と共にニューヨークへと拠点を移した彼は、アメリカの地から素晴らしい作品をリリースしていった。コクソン・ドッド(Coxsone Dodd)やデューク・リード(Duke Reid)が創る音楽の大ファンであった彼は、彼等の音楽を継承しながら、より都会的で洗練された現代のダンスホール・サウンドを制作、発表していった。ジョー・フレイザー(Joe Frasier)によってリメイクされた、'Stars'、'I'll Be Lonely'、'Thank You Lord'、'First Cut Is The Deepest'等のリズム・トラックはサンチェス(Sanchez)、フレディ・マクレガー(Freddie McGregor)、ジョイ・ホワイト(Joy White)、グレン・ワシントン(Glen Washington)といったヴォーカリストの魅力を最大限に引き出す事に成功した。フィオナ(Fiona)、パム・ホール(Pam Hall)等の女性ヴォーカリストもラヴァーズ・ロックという視点から捉えても評価されるべき作品をリリースしている。
中でも記憶に新しいのは2002年、サンチェス(Sanchez)の'Frenzy'に代表される一連のリリースであろう。レーベルの特徴を良く表したこのミディアム・トラックは爆発的なヒットを記録した。ここ日本での盛り上がりも凄まじく、ダンスホールを大いに沸かせた。
その後もレーベルの勢いは留まる事なく、2003年には'Soul & Inspiration'、'Darker Shade Of Black'、2004年には'Peanut Vender'、2005年には'Rougher Yet'、'Three Blind Mice'、2006年には'Hypocrite'といったリメイクを発表し、終始一貫したスタイルでチャートを賑わせるヒットを放っている。先にも触れたが作り込まれたクリアで繊細なリズムと実力派ヴォーカリストの組み合わせは幅広い層に評価され続け、もはや代名詞と呼べる程に定着した。現在でもジョー・フレイザー(Joe Frasier)からのリリースは順調に届けられ、更なる活躍が期待されるレーベルである。
2008/06/13 掲載