Rockers(ロッカーズ)Text by Dub Store Sound Inc.
ピアニカ奏者、オーガスタス・パブロが設立した伝説のプロダクション
Rockers
設立 |
1972年 |
設立地 |
ジャマイカ キングストン |
主要スタジオ |
A & R Black Ark Channel One Dynamic Harry J Joe Gibbs |
設立者 |
Horace Swaby |
プロデューサー |
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エンジニア |
Ernest Hookim Errol Thompson King Tubby Lee Perry Phillip Smart Prince Jammy Sylvan Morris |
関連アーティスト |
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関連レーベル |
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レゲエ史上最も独創的なミュージシャンとして知られるオーガスタス・パブロ(Augustus Pablo)によって設立されたレーベル。メロディカ、ピアノ、キーボード、シンセサイザー、オルガン、木琴といった楽器を操り、他に類を見ない独自の作品を残した。1972年、彼の兄弟であるガース(Garth)が運営していたサウンド・システムから名前を付けたロッカーズ・インターナショナル(Rockers International)はメイン・ストリームからは外れた所にある真のレベル・ミュージックを表現し続けたのである。
オーガスタス・パブロ(Augustus Pablo)はハーマン・チン・ロイ(Herman Chin Loy)のアクエリアス(Aquarius)でデビューを飾り、すぐさまセッション・ミュージシャンとしての評判を築いた。彼の名義でリリースされたレコードは東洋的音世界を表現した短調の"ファー・イースト・サウンド(Far East Sound)"として知られ、現在でもカルト的な人気を誇っている。レーベルを運営する資金を集める事が出来たのも、パブロが超一流のミュージシャンであり、多くのプロデューサーが彼を起用したがったからである。
レーベル、ロッカーズにパブロが残したインストゥルメンタル作品はスタジオ・ワン(Studio One)のファウンデーション・リズムを使用した物も多く、'Skanking Easy'、'Frozen Dub'、'Rockers Rock'といった作品はそれぞれ'Swing Easy'、'Frozen Soul'、'Real Rock'を新しくヴァージョンし直した物である。またそれらの作品に負けず'Cassava Piece'、'555 Crown Street'、'Pablo's Theme Song'といったインストゥルメンタル作品もレーベルを代表する作品として評価されている。
ロッカーズの作品はヴィヴィアン・ジャクソン(Vivian Jackson)やリー・ペリー(Lee Perry)といったルーツ期を代表するプロデューサーと同様にキング・タビー(King Tubby)がミックスを担当、パブロとタビーが共演した名作「King Tubbys Meets Rockers Uptown」はロッカーズを代表する歴史的作品であり、パブロ、タビー両者の評判を決定付けた1枚となった。
また、ジェイコブ・ミラー(Jacob Miller)、ホレス・アンディ(Horace Andy)、ジュニア・デルゲイド(Junior Delgado)、ヒュー・マンデル(Hugh Mundell)、テトラック(Tetrack)といったアーティストの楽曲を手掛け、プロデューサーとしても見事な手腕を発揮した。中でもジェイコブ・ミラーの'Who Say Jah No Dread'や'False Rasta'、ヒュー・マンデルの'Africa Must Be Free'、ポール・ブラックマン(Paul Blackman)の'Say So'、'Earth Wind & Fire'といった楽曲はこれから勢いを増していくドレッド、ラスタといったテーマを鋭く切り取った強力な作品である。
80年代に入ると新たなテクノロジーを作品へと取り入れ制作を行った。ジュニア・デルゲイドは80年代以降、パブロがデジタル技術をルーツ・ミュージックに取り入れてからも[「Raggamuffin Year」に代表される力強い作品を残した。またヤミ・ボロ(Yami Bolo)、アイチョ・キャンディ(Icho Candy)、デルロイ・ウィリアムス(Delroy Williams)、ノリス・リード(Norris Reid)といったアーティストを手掛け、ヒュー・マンデルの盟友ジュニア・リード(Junior Reid)は79年にロッカーズで初録音を果たし、その後シーンを代表するアーティストとなった。
時代の移り変わりと共に変化しながらも、メイン・ストリームとは一定の距離を保ち続けたロッカーズ。ダンスホール期にはカルチュラルな若者を導くプロダクションとして存在し、彼が残したサウンドは主に先進国で絶大な支持を受けた。一度耳にしたらすぐにそれと分かる即時な音世界は現在のニュー・ルーツ・シーンにも大きな影響を与えている。
2009/07/14 掲載 (2014/04/17 更新)