Vena(ヴィーナ)Text by Dub Store Sound Inc.
1987年、フィリップ・ファティス・バレル(Philip 'Fatis' Burrell)によって設立されたダンスホール・レーベル。彼は後にエクスターミネーター(Xterminator)レーベルを運営した事でも知られる。
Vena
設立 |
1986年 |
設立地 |
ジャマイカ キングストン |
主要スタジオ |
Dynamic |
設立者 |
Philip 'Fatis' Burrell |
プロデューサー |
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エンジニア |
Michael Riley |
関連アーティスト |
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関連レーベル |
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プロデューサーであるフィリップ・ファティス・バレル(Philip 'Fatis' Burrell)。彼は80年代後半のダンスホール革命後に訪れたディジタル時代に最も成功を収めたプロデューサーの1人である。彼は現在でもシーンのトップを走り続ける老舗レーベル、エクスターミネーター(Xterminator)のプロデューサーとして知られているが、彼の華々しいダンスホールでの成功の軌跡を辿るには80年代にまで遡らなければならない。
フィリップ・ファティス・バレル(Philip 'Fatis' Burrell)は幼少期をイギリスで過ごした後、ロビー・シェイクスピア(Robbie Shakespeare)とパワー・ハウス(Power House)レーベルのオーナーである、ジョージ・パン(George Phang)の計らいにより、シュガー・マイノット(Sugar Minott)の'More Dogs To The Bone'を手がけた。これが1984年の事である。それを期にプロデューサーとして本格的な活動を開始した彼は、1987年自身のレーベル、ヴィーナ(Vena)を立ち上げると、特筆すべき重要な作品を続々とリリースしていった。彼もまた当時引く手あまたであったスライ・アンド・ロビー(Sly & Robbie)を起用し、彼等の奏でる強力なリズムがプロダクションの大部分を支えていたと言える。ヴィーナ(Vena)はその斬新なサウンドによって先の時代を見据え、シーンに大きな影響を与える事となった。
彼のプロダクションが放った最初の重要なヒットに、フランキー・ポール(Frankie Paul)の'Hungry Belly'と'Warning'がある。ミスター・ダンスホールとして知られる彼の魅力はスライ・アンド・ロビー(Sly & Robbie)の強力なリズムによって更に輝きを増し、コミカルな内容の前者と、スラックネスが蔓延したシーンへの警告を発した後者、この2曲は彼がどのようなテーマを歌わせても超一流のパフォーマーである事を証明している。
彼の手掛けた初期の作品にはピンチャーズ(Pinchers)の'Lift It Up Again'やファスト・ラッピングの代表格、ダディー・フレディー(Daddy Freddy)とのコンビネーション、'Joker Lover'、ダディー・フレディー(Daddy Freddy)の'Bad Boy Patrol'、サンチェス(Sanchez)の'Zim Bam Zim'といった強力なシングルが並ぶ。その他、ちびっ子スターから本物のダンスホール・スターへと成長を遂げたリトル・ジョン(Little John)の'Dibby Dibby Lover'やサンチェス(Sanchez)とスティンガー・マン(Stinger Man)のコンビネーション、'Hello Josephine'といった作品も、その全てが平均以上のクオリティーを保っている。
90年代に入るとエクスターミネーター(Xterminator)レーベルを立ち上げ、ラスタファリズムに傾倒した作品を発表していった。これにより彼のプロデューサーとしてのキャリアは、新たなステージへと踏み出していく事となる。
2008/09/12 掲載