Lt. Stitchie(ルーテナント・スティッチー)Text by Dub Store Sound Inc.
1980年代から活躍する早口ディージェイ。複雑な音程で早口にまくし立てる彼の歌唱法は絶対的なオリジナリティーとして受け入れられた。スラックネスを嫌い、想像豊かでドラマティックなリリックも大きな魅力である。
Lt. Stitchie
本名 |
Cleve Laing |
出生 |
1962年6月 |
出身地 |
ジャマイカ キングストン |
1980年代から活躍する早口ディージェイ、ルーテナント・スティッチー(Lt. Stitchie)。音楽以前のかれのキャリアは少し変わっていて非常に興味深いので、ここで少し触れておきたい。
1962年首都キングストンに生まれた彼は、誕生後すぐにスパニッシュ・タウンに移りそこで幼少時代を過ごした。学生時代は多方面にわたりその才能を発揮したようで、有名な美術コンテストに彼の絵が入選したこともあるという。そんな彼が美術以上に有名だったのが、陸上の短距離界。84年に足の怪我で断念するまで真剣にオリンピックを目指していたそうだ。それも実際に手の届く範囲にあったというから驚きである。
怪我という大きな挫折を乗り越えた彼は大学を卒業後、高校の教職に就く。しかしこちらは長くは続かなかった。86年に職を離れた彼はここから本格的に音楽の道を歩み始めることとなる。
82年からスパニッシュ・タウンのCity Light DiscoやLightning Discoにメジャー・ウォリーズ(Major Worries)やジョー・マニックス(Joe Mannix)らと出演し始め、83年にはコンテストに優勝。これを期にステレオ・ワン(Stereo One)へと活動の場を移した。
その後はステレオ・ワンとジャミーズ(Jammys)を中心に次々とヒット曲を生み出していった。88年になるとアメリカのアトランティック(Atlantic)と契約。活動を世界へと広げている。自身のインタビューでも語っているように、彼のスタイルは早口でクリエイティブ。スラックネスを嫌い、想像豊かでドラマティックなリリックを複雑な音程で早口にまくし立てる彼の歌唱法は絶対的なオリジナリティーとして受け入れられた。
'Almighty God'や'Natty Dread'、'Wear Your Size'といったヒット曲と共に80、90年代ダンスホール界を支えた重要人物である。
2019/04/19 掲載