Yellowman（イエローマン）Text by Harry Hawks
"キング・イエロー"として君臨した時代、誰もイエローマンの人気の足元にも及ばず、彼は80年代を通して資金を握り締め録音したいとやってくるすべてのプロデューサーたちのために休むことなく活動をした。
Yellowman
| 本名 | Winston Foster |
| 出身地 | ジャマイカ キングストン |
| 関連アーティスト |
80年代の早期にセンセーションを巻き起こしたイエローマンは音楽論評が遅れながらも彼がレゲエの最先端だということを読者たちに知らせるために彼の名前を呼び始めるより何年も前からすでにヒット曲を量産していた。その彼らが持っていた (ボブ・マーリー再来のような) レゲエのスーパースターのイメージに添うことが出来なかったイエローマンの音楽に彼らが耳を傾けたその時、彼が誰よりもセクシーな男だということに気付いたのだ。高慢でユーモラス、そして頑固なイエローマンは彼らが持つすべての先入観を無視した。彼はダンスホールのディージェイだった...そして彼はそれを誇りに思っていた。
「やあ、俺の名前はイエローマンだ...ゲットーでは俺のことをミスター・セクシーと呼ぶんだぜ」
1956年1月15日にジャマイカのキングストンで生まれたウィンストン'イエローマン'フォスター(Winston Foster)は幼いうちに孤児になり、マックスフィールド・パーク・ホームやアルファ・ボーイズ・スクールなどの様々な慈善施設に預けられるまで貧困に苦しんだ。18歳になった彼はタレント・コンテストに参加し始め、テイスティー・パティーズ・タレント・コンペティション優勝後、彼は地元のサウンドシステムでマイクを握り始め、キングストンのスタジオでのレコーディングを夢見ていた...しかしウィンストンはアルビノ(先天性色素欠乏症)だった。
「イエローマンは"イエローボーイ(Yellowboy)"と呼ばれていた。彼は夜にジョー・ギブス(Joel Gibson)のところに来ていたんだが、そこの奴らはよく"イエローボーイ施設に帰りな"と言ったもんだ。イエローマンはみんなと違ったから入ることが出来なかったのさ...」バニー'ストライカー'リー(Bunny Striker Lee)
競争の激しいキングストンの音楽シーンで評価を得るには欲望と渇望、そして成功したいと望む激しく溢れ出る気持ちが必要不可欠でありイエローマンは自身の前に積まれたハンディキャップをものともせずそれを実現させた。ものめずらしさを売りにするよりも彼は徐々にリズムに乗る能力を磨き、洞察力とユーモアにとんだリリックを届け、そして1979年の終わりにはセント・トーマス教区ポート・モーラントのエース・ディスコ(Ace Disco)専属のディージェイになった。70年代前半にキング・スティット(King Stitt)が「俺が醜い奴だ...」と自らを名乗ったように自身の見た目のうまく利用し、異性に対し自分がどれだけハンサムで魅力的かということを、皮肉を交えながら永遠としゃべっていた。彼は徐々に教区出身というステータスを意地とし、エース・ディスコの目玉としての地位に急激に上り詰めた。
シンガーでありプロデューサーのルディー・トーマス(Ruddy Thomas)はイエローマンをレコードに録音した最初の人物の一人だった。彼の初ヒット曲'Love Struck'はレーベル、ルディーT(Ruddy T)からリリースされ、ジャマイカ中のすべてのプロデューサーたちが列をなしてウィンストン・フォスターを録音したがったのはそれからまもなくのことだった。'Over Me'、'Soldier Take Over'、'Operation Eradication'などのレコードは素晴らしい出来でとても人気があったがこの時代に作られたの彼のレコードはすべて水準の高いものだった。ユーモアのセンスは彼の一番の強みだった...ライヴ・アンド・ダイレクト...ダンスホールでイエローマンは驚くほどに魅力的だった。カセット・テープに録音されたダンスホールのライヴは2年もの間事情通たちの間だけで流通されたが商業的に販売されず、1982年彼はレコードでライヴ・アルバム「Yellowman and Fathead Live At Aces」をリリースしたジャマイカ人初のディージェイとなった。
「貧しい人々が暮らす施設に住んでいたにもかかわらずイエローマンはスーパースターになった...それから彼はキング・イエローになった...みんなその時期のイエローマンのテープをほしかっただろうな!」バニー・ストライカー・リー
高い評判を受けていた1982年、彼はボブ・マーリー(Bob Marley)が自身のキャリアを通してリリースした量よりも多くのアルバムを発表し、彼のアルバム、7インチと12インチ・シングルは多すぎるためどれが新作なのかという混乱を招いてしまった。彼の最も成功し、一貫したスタジオ作業はヘンリー'ジュンジョ'ロウズ(Henry ‘Junjo’ Lawes)とのもので彼らの1982年のアルバム、イギリスではグリーンスリーブス(Greensleeves)から発売された「Mister Yellowman」はジャマイカのダンスホール内で納まりきらないほどの評価を得始めた。
「ジュンジョとグリーンスリーブスは次の流行りを見つけイエローマンはスーパースターになった...ボブ・マーリーのように一夜にしてスーパースターになったんだ!」バニー'ストライカー'リー
イエローマンが初めてイギリスを訪れたのはいくつものコンサートチケットが売り切れになった1983年の夏、ショーがあった北ロンドンのピケッツ・ロックはすべてのエリアで交通規制がかかったほどだった。客たち、またイエローマン自身も数時間かけて自宅へ帰らなければならなかった。しかし彼は"キング・イエロー"としての名に恥じないように生き、ジャマイカのサウンドシステムから、レコード、カセット・テープ、そしてイギリスのステージの上までの変遷期で何も変わることは無かった。オーディエンスたちはすべての曲を共に歌いディージェイした...
彼は多国的に展開するレーベルCBSと1984年に契約、ジャマイカ人ディージェイ初となるメジャーレーベル契約となったが不運なことにアルバム「King Yellowman」の結果は期待はずれだった。CBSの誰かが彼にディスコかカリプソ...レゲエ以外なら何でも...メインストリームに受け入れやすい音楽を作るつもりだったからだ。アルバムは売れずイエローマンは自身の得意分野に立ち戻った。それと同時期レゲエ・ビジネスは彼の成功に答えるかのように1人、いや2人のイエローマンとよく似たスタイルで録音していたアルビノのディージェイ、パープル・マン(Purpleman)とピーター・イエロー(Peter Yellow)を見つけ出した。
評論家、シンガーでありコメディアンのロイド・ラヴィンダー(Lloyd Lovindeer)はイエローマン旋風が巻き起こる最中リリースされた「Yellow Fellow」についてウィンストン・フォスターに多大なる称賛を与えた。トリビュート盤というのは普通アーティストが死んでからや業界から去ってから作られるものだ。あごの癌と診断された1986年イエローマンは九死に一生を得た。余命6ヶ月と宣告されたが彼の臨機的な回復力の前にこの診断は外れてしまった。長く辛い戦いを制しキング・イエローマンとなったこのアルビノの孤児に癌が付け入る隙などなかったのだ!長期に渡る手術の後イエローマンは音楽ビジネスから長期療養に入り、ゆっくりだが確かに健康な体に戻っていった。
長期に及ぶ病のあと、彼はアップデートした'Blueberry Hill'を録音するために帰ってきた。90年代が進むに連れて彼はよりスピリチャルで教養的なテーマに戻ることもしばしばあったが、「In Bed With Yellowman」や「Yellowman's Good Sex Guide」などのアルバムのように以前のテーマで歌った。しかしこれらのレコードはジャマイカの若いダンスホール・ファンたちに売れることは無かった。しかしイエローマンは80年代初頭にエース・ディスコで魅了されたジャマイカ国内のオーディエンスたちのように彼のウィットに強く惹きつけられた義理堅く献身的な世界のオーディエンスたちを獲得した。イベントに満ちたキャリアを通しイエローマンはユーモアの感覚とリズムに乗る才能を保持し、自身の欠点をすべて乗り越えてきた。これで最後に誰が笑っているのか一目瞭然だろう...
「俺はみんなをハラハラさせるために生まれたのさ。俺の頭の中に舌がある限り、死ぬまで俺のリリックはフローするぜ」
2017/08/29 掲載 （2017/08/29 更新）
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