彼もまた多くのパフォーマーと同様に、数々のサウンド・システムを巡業しそのスキルを磨いた。ロマンティック・ハイ・ファイ(Romantic Hi Fi)、キラマンジャロ(Killamanjaro)、ジェミナイ(Gemini)、ヴォルケーノ(Volcano)といったシステムで揉まれたリトル・ジョンは第一級のエンターテイナーとして成長していった。彼の最大の魅力は、ライブ・パフォーマンスで見せるそのラフなスタイルをレコード上でも表現出来たことであろう。彼が残した初期の重要作品、'Robe'や'What Is Katty'はエロール・ドン・メイス(Errol Don Mais)のルーツ・トラディション(Roots Tradition)にて録音された。ソウル・シンジケート(Soul Syndicate)や後にルーツ・ラディックス(Roots Radics)となるメンバーたちによるラフでタフなリズムはたちまち評判となり、リメイクが中心ながらもその斬新なサウンドは、新しい時代の幕開けを感じさせる物であった。声変わり以前の1979年、若干9歳当時の録音ながら、'Robe'は"Bobby Babylon"、'What Is Katty'は"Answer"と2つのリズムを見事に乗りこなしている。'What IS Katty'は1988年にファイヤーハウス(Firehouse)にて再演されており、そちらも注目である。
デビューから彼のキャリアは華々しい物であったが、ヘンリー・ジュンジョ・ロウズ(Henry 'Junjo' Laws)のヴォルケイノ、ジョージ・パン(George Phang)のパワー・ハウス(Power House)からの作品では更に成熟したパフォーマンスを聴くことが出来る。ヴォルケーノからはアル・キャンベル(Al Campbell)とのコンビネーションで'Mash It Already'が大ヒット。力強いヒューマン・トラック、"Answer"に乗せた2人のコンビネーションが冴え渡るダンスホール・チューンである。更にバーリントン・リーヴィ(Barrington Levy)、'Dances Are Changes'の替え歌、'Cocaine'やタイトル通りのダンスホール・ネタ、'Dance Hall Style'といった良曲も残している。パワー・ハウスからは、'First Cut Is The Deepest'をネタにしたジョジー・ウェルズ(Josey Wales)とのコンビネーション、'Dance & Studio'が今尚、現場で高い人気を誇り、もう一つの代表作、'True Confession'と共にダンスホールでは欠かせない人気曲となっている。